【リーダーの素顔】ボストンコンサルティンググループ・秋池玲子さん
更新■再生機構での経験生かし組織改革
世界的なコンサルティング会社で腕を振るい、4月からは経済同友会の副代表幹事としても活動する。技術と経営をテーマに踏み出したキャリアの転機は九州で手掛けたバス会社の再生。社会が大きく変革する中、大手企業と起業家、若者らとの懸け橋役も担い組織改革に挑む。
--経営コンサルティングの魅力は
「顧客である企業と一緒に分析的事実や組織風土を踏まえて徹底して議論し合い、困難な課題を共に解決する。その過程と顧客企業が成果を上げたときの喜びがやりがい。私自身は前職の産業再生機構の経験と近年の手法を生かし、企業が何かの壁にぶつかり、厳しい状況に置かれる中、どう組織変革するかに取り組むことが多い」
--産業再生機構に転身したきっかけは
「新聞で産業再生機構の記事を読み、助言ではなく、自分の手で事業再生の仕事をやりたいと、2003年に入社した。九州産業交通に取締役として派遣されたが、業界を取り巻く環境に課題は山積していた。当時地方のバス会社は人口減やバス離れで多くが赤字経営。倒産すれば地域の足がなくなる危機感があった。一方、バス以外の事業は成長余地があり、人材や資産を生かし、共に改革に取り組んで収益を改善した」
--バス事業再生の課題は
「収益源のはずの熊本市内は市営バスとの競合でお互いに赤字続きで、熊本市から路線を譲り受け、顧客目線でダイヤも見直した。地元では、問題点を理解していたが、当事者同士では調整がしづらい。前例がない中で手探り状態だったが、第三者の役割が機能したと思う。過疎地の赤字路線は安全で適正原価で運行する代わりに、地域から委託料をもらう枠組みを活用した。人口減でも世界が魅力に感じる生活の質や観光資源を維持するために何をすべきか。工夫の余地があると実感した」
--経済同友会で組織改革を担当している
「技術革新で社会が変貌する中で、組織に求められているのは多様性だ。会員は大企業の50代以上の経営者が多い。30代や40代の若手経営者や女性はそれぞれ全体の約8%だが、デジタル社会に生きる経営者の独特な経営感覚や先端技術による課題解決方法には学ぶことも多い。会員の枠を超えて議論する『テラス』の活動を通じ、若手や学生らにも参加してもらい、互いに切磋(せっさ)琢磨(たくま)しながら、社会を変えるきっかけにしたい」(上原すみ子)
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【プロフィル】秋池玲子
あきいけ・れいこ 早大大学院修士課程修了。米マサチューセッツ工科大で経営学修士号。マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て2006年にボストンコンサルティンググループ。14年から現職。群馬県出身。
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≪DATA≫
【研究経験を生かした経営】学生時代に企業の研究者から、いい研究が業績に直結しないこともあると聞き、「技術研究に対する経営判断は難しい」と実感。技術と経営をテーマに据え、キリンビールの製造系企画部門からキャリアが始まった。
【休日】美術館で絵画鑑賞など。「お菓子づくりも好きですが、出来栄えはその時々で、なかなかうまくいかないんです」
【経済同友会】産業再生機構時代に入会し、新事業創造や企業・経済法制の委員会などに参加。昨年から同友会の組織改革を担う委員会で委員長を務める。「経営者が個人の立場で参画することで中立の立場で発信し、社会に提言できる」
