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【講師のホンネ】講演は準備が9割 川田崚介

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【講師のホンネ】講演は準備が9割 川田崚介

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 私は岡山市で学習塾を経営している。実家を改装し、アットホームな雰囲気の中で授業を行っている。2016年にどうしても表現したいことがあり、脱サラし開業した。

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 現在は、4人のスタッフと一緒ににぎやかな毎日を送っている。また休日や空き時間を使って講演活動も行っている。なぜかというと、私には、どうしても伝えたい体験や思いがあるからだ。それは、自分が18歳のときに悪性腫瘍、いわゆるがんになり、闘病生活を体験したことで「より多くの子供たちに命の大切さを伝えたい」という思いがある。人は誰でも「自分だからこそ伝えられること」があると思う。

 悪性腫瘍から大切なことを教えてもらい、それを伝えていくことを使命として講演活動を行っている。

 ただ、実際に講演してみて感じたのは、ステージ上での華やかな印象はほんの一部分で、入念な準備が必要だということだ。

 伝えたいと思っていることの全てを際限なく伝えることは難しい。可能な限り言葉を磨き、要約し、伝わる言葉に置き換える準備は、とても地味だと思う。

 講演の準備を大別すると、「ネタ作り」と「話す練習」になる。講演の本番で緊張したり、うまくいかなかったりするのは、大体が準備不足だと身をもって体験している。

 依頼があると、テーマに沿ったネタの構成を含め、自分で動画を撮ったり、時間を計ったりしながら練習をする。「笑顔が足りないな」「話し方に角があるな」「時間が足りないな」など、多くの気付きがある。

 昨年、「全国・講師オーディション」に出場したときのこと。ホテルに前泊し、マイク代わりにリモコンを使い、スーツを着て練習した。与えられた時間は10分。ところが、何度やっても10分以内に収まらない。自宅の練習では時間内に収まっていたのに、なぜかオーバーしてしまう。

 人は、何かを本気で伝えたいと思うとき、言葉数が多くなる気がする。親が子供に、上司が部下に「ちょっと言い過ぎたかな」というのと似ているかもしれない。思い切ってネタの一部を削る決断をした。本番では、制限時間内に今までで一番の講演ができたと感じることができた。「講演は準備が9割」と確信した瞬間であった。

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【プロフィル】川田崚介

 かわた・りょうすけ 1991年、岡山県出身。大学卒業後、大手進学塾に入社。小・中学生の理系教師を務める。2016年に退職、実家を改装して「かわた塾」を開校。塾生0人からスタートし、18年8月まで26カ月連続で新規生が入る人気塾として評判となる。第8回「全国・講師オーディション」のファイナリスト。

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