「大阪王将」に後れを取るも…「餃子の王将」業績復活、そのワケは“女性・大学・丁度よさ”
配信元:ITmedia ビジネスオンライン 更新見た目は普通のギョーザと同じだが、生姜を効かせてあっさり目に仕上げている。ニンニクが入っていなければ、ランチでも安心して食べられ、デートの前でも安心だ。
ただし、従来のギョーザを食べ慣れたお客は、にんにくゼロ餃子が物足りないと感じるようで、新商品の投入だけでは業績が回復しなかったのも事実である。
競合チェーンの「大阪王将」では12年、味を変えることなくにおいを抑えるギョーザの開発に成功している。ニンニクに含まれるアリインという成分が酵素と反応することでにおいが発生するのだが、アリインの酵素反応量を抑制する独自の加工を施した。
ニンニクありとニンニクなしの2種類を食べ比べられる餃子の王将。技術力でニンニクのにおい発生源を抑えた大阪王将。結果を見ると、大阪王将は12年から16年までの4年間で、外食と物販を合わせたギョーザの売り上げを33.3%伸ばした。内訳は外食が0.3%増、市販が55.6%増となっており、大阪王将が冷凍食品を戦略的に拡大した面もある。しかし、におわないギョーザの場合、消費者は大阪王将のほうを選ぶ傾向が強く、餃子の王将は後塵を拝した感がある。
食材の国産化で取り組みに差
また、ギョーザの具材国産化に大阪王将は11年から取り組んでいるが、餃子の王将が提供するギョーザとラーメンの主要食材国産化は14年10月にズレ込んでいる。
餃子の王将は同年9月に円安の進行で輸入食材価格が上昇したこともあり、40品目以上のメニューの値上げを敢行。5~10%の値上げで、「餃子」の価格も20円上がり、東日本で240円、西日本で220円となった。値上げと引き換えに国産の安全・安心を消費者に届ける狙いだったが、結局この値上げが消費者の足を遠のかせた。
なお、大阪王将は餃子の王将の創業者一族が暖簾(のれん)分けの形で大阪に開店したチェーンだ。一時期、2社が同名の屋号である「餃子の王将」を名乗って京都や大阪で競合した。裁判により、大阪の側が屋号を「大阪王将」と改名。社名も「イートアンド」として独自の発展を遂げており、こちらも東証1部上場企業である。店舗数は353店ある(18年6月末時点)。