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無人レジで加盟店の人件費削減に貢献 キャッシュレスの牙城死守へ JCB

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無人レジで加盟店の人件費削減に貢献 キャッシュレスの牙城死守へ JCB

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 JCBが無人レジの普及を進める背景には、キャッシュレス決済をめぐる激しい主導権争いがある。店舗側が負担する決済手数料を無料にするなど大胆な手段で加盟店の開拓を狙う新興勢に対し、手数料を収益源にするクレジットカード業界は押され気味だ。新たな付加価値を創出することで手数料の値下げ合戦に頼ることなく膨大な加盟店網を維持したい思惑がある。

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 「無人レジ1台でパート従業員1人分の人件費を削減できる。加盟店支援を通じて手数料を減らさなくてもJCBカードを使ってもらえる好循環を作りたい」

 JCBの担当者は、無人レジ導入の理由をこう説明する。キャッシュレス決済の“主役”の座を脅かされている危機感がにじむ。

 日本は1人当たりのカード保有枚数が7・7枚とシンガポールに次ぐ世界第2位。JCBは国内外に約3千万店の加盟店を抱える。

 ただ、スマートフォンの普及を契機に楽天やLINE(ライン)などのネット企業や、携帯電話各社、流通大手など、さまざまな業界からキャッシュレス決済に参入が相次いでいる。

 新興勢の強みは「本業が別にあるためシェア拡大に向けて大胆な値下げができる」(メガバンク幹部)ことだ。ラインやソフトバンクなどは相次いで手数料無料を打ち出した。加盟店を囲い込んで新たな“経済圏”を作り、膨大な消費者データも握ろうとしている。

 これに対しクレジットカード会社は加盟店から決済額の3~7%程度の手数料を徴収している。大きな収益源であり大幅な値下げは難しい。カード各社は生体認証や非接触決済など新技術の開発も進め顧客利便性をアピールしているが、どこまで牙城を守れるか未知数だ。業界内では「手数料に頼るビジネスモデルを続ける限りじり貧になる」と厳しい声も上がっている。(田辺裕晶)

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