講師のホンネ

1歳になる末娘を見て思った「最も成功している人生」

 精神科医という仕事柄、不安・後悔・嫉妬といった負の感情を扱う機会は多い。

 年を重ねるとどうしても、お金持ちになりたい、成功したいなどという自我に執着し、自分の足りないところにフォーカスしがちになる。勝手に人と比べて、負けている、運がない、羨(うらや)ましいと。しかし、本当の自己実現はもっと単純なことではないか。人としてのあり方の問題である。(精神科医・伊豆はるか)

 1歳になる末娘を見ると「あぁ、これこそが最も成功している人生だなぁ」と思うのだ。

 “人にどう思われるかを恐れず、自分の要求を素直に表現し、失敗を臆せず常に挑戦し、惑わされず後悔もせず、周りに幸せを振りまく”

 腹が減ったら泣き、好きじゃない人の抱っこは断固拒否。何度転んでも立ち上がり、できるまでやる。

 そこに迷いや諦めはない。そして、最高の笑顔で周りの者を幸せにしてくれる。

 彼女だけではない。5歳と3歳の兄姉が小さかったときも、他のどの赤ちゃんを見ても同じことを思う。誰よりも成功している! と。

 人は生まれてから最初の1年で、一般的に体重が3倍になり身長が1.5倍になる。

 もちろん、大きく変化するのは体だけではない。首もすわらない新生児が歩けるようになり母乳から普通食にアップし、「パパ・ママ」が言えるようにまでなる。

 それはそれは奇跡的な変化だ。

 赤ちゃんの毎日は新鮮で刺激的で、喜びと驚きの連続。みんなに愛され、自信満々、満面の笑みと笑い声であふれ、本人にとっても周りにとっても最高の日々。

 この姿こそが、本当の自己実現ではないか。何も手に入れずとも全てが満たされている。大人になっても、その気になればすぐにかなえられることだ。

 1歳までの1年も他のどの1年も、かけがえのない生涯の1年。どれほど成長できるかに限界はない。赤ちゃんと同様、奇跡的な変化を遂げることができるのだ。

 過去を悔やみ未来を案じ、足りない自分を嘆くことよりも、まずは今の自分の人としてのあり方を振り返ってみるのはどうだろう。

 私自身も、幼い子供たちを手本に奮闘する毎日である。

【プロフィル】伊豆はるか

 いず・はるか 兵庫県出身、精神科医・3児の母。慶応大在学中に会社を設立し、塾や飲食店を経営。結婚出産と仕事の両立のため、社長業の傍ら医学部入学。33歳で医師免許を取得。現在は精神科医・訪問診療医として働きながら、女性の新しい生き方を提案する「マルチライフプロジェクト」を主宰。現実的かつ具体的手法で女性を導く講座は毎回満席。

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