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官民連合、トルコの原発断念か 東日本大震災を受け安全対策費が上昇、最先端の石炭火力提案へ

 政府や三菱重工業など日本の官民連合がトルコの原子力発電所の建設計画を断念する方向で検討していることが4日、分かった。トルコ北部の黒海沿岸シノップに新型軽水炉を4基建設し、2023年に稼働を目指す計画だった。だが、東日本大震災を受けて、安全対策費が上昇。総事業費が当初想定の2倍以上の5兆円規模に膨らみ採算確保が難しいとされていた。加えて、予定地の周辺には活断層があるとされ、政情不安や現地の反対運動も懸念材料となるなど、23年稼働は厳しい情勢だった。

 建設を担当する三菱重工は、トルコ通貨リラの大幅下落も重なり、総事業費の見直しを進めてきたが、建設後の売電価格や資金計画などで折り合わず、トルコ政府との調整が難航している。既に伊藤忠商事は3月にコスト増などを理由に計画からの離脱を決めた。今後、最先端の石炭火力発電所を建設する案などを新たに提案する見通し。

 世耕弘成経済産業相は4日、閣議後の記者会見で、トルコの原発建設計画の実現性が不透明となっていることに関し「(トルコ政府と)協議を行っている最中で、何らかの決定が行われた事実はない」と説明した。

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