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iPS使った血小板、米で治験 京都のベンチャー

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iPS使った血小板、米で治験 京都のベンチャー

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 京都に本社を置くベンチャーの「メガカリオン」が人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて作った輸血用の血小板の実用化に向け、効果や安全性を確かめる治験(臨床試験)を年明けにも米国で始めることが22日、分かった。米国で企業がiPS細胞由来の再生医療を治験するのは初めて。iPSの再生医療への取り組みはこれまで、大学など研究機関が中心だったが、企業も加わることで実用化が加速しそうだ。

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 メガカリオンはiPS細胞から、血小板のもととなる細胞を作って凍結保存しておく。血液製剤が必要になった場合は解凍して増殖し、血小板に変化させる技術を確立している。米国で年明けにも始める治験は、再生不良性貧血などが対象で、拒絶反応が出にくい患者を対象に行う予定。

 血小板は血液成分の一つで、けがや手術時の止血や血小板が減少する血液の難病などの治療に使われる。現在は献血に頼った状況だが、国内での保存期間は採血後からわずか4日と定められている。さらに少子高齢化による献血の減少で、将来的な供給不足も懸念されている。

 メガカリオンは東京大学医科学研究所の中内啓光特任教授と京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授の開発した技術をもとに実用化を目指してきた。同社の製法では、血小板になる前の段階で冷凍保存ができるため、必要に応じて血小板を大量に安定して生産できる。無菌状態で培養し、ウイルスや病原体の混入リスクも低いため保存期間も数週間に延びるという。国内では来年度中にも治験を開始する方針。

 国内の市場規模は約700億円で米国は3倍以上と推定されている。メガカリオンは米国での治験を進め、国際的な普及を狙う。将来的には献血システムが整備されていないインドや東南アジアなど医療途上国に安定供給する考え。

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