稲葉酒造 女性蔵元、伝統守りながら新しい酒提案
□稲葉芳貴代表
■発酵という日本の伝統文化を後世に
--出身は
「北海道富良野市出身で、元々は教師を目指して筑波大学に進学した。同大の大学院にまで進んだが、そこで気持ちが変わった。教えるのではなく、マネジメントなどを包括的にやってみたいと思い、百貨店に入社。販売やバイヤーといった仕事を10年以上経験した」
--なぜ酒蔵に
「日本のものづくり、発酵という伝統文化を後世につなげたいという強い思いがあった。妻が蔵元を継承した後、想像以上の売れ行きで従業員も増えていった。そのため造り手だけでなく、営業や管理の役割も必要だと妻から頼まれたのも理由の一つだ」
--酒蔵での仕事をどう考えているのか
「百貨店で長く働いていたため、流通から販売まで広い視野を持って酒造りの仕事に取り組める。酒を造って終わりではなく、その先を考え、他の酒蔵に先駆けてインターネット販売を行うなど、外側の目線でマネジメントができる」
--酒造りに対するこだわりは
「製造した酒が飲む人の元へ正しい味で届くようにこだわっている。販売時の温度や、輸送時の管理などは細心の注意を払っている。良くできた酒を良くできた味のまま、口まで届けるために、特に周辺の温度変化には敏感だ。販売店も信頼できる数店にしか卸しておらず、問屋なども一切使わない」
--今後の目標は
「日本の発酵文化は世界に誇るべきものだ。未来につなげていきたい。観光客が日本酒とあわせて食事を気軽に楽しめるような場や、地域の人が気軽に飲める場を提供して、人々が日本酒になじめるように活動していきたい。そういった取り組みは現在も小さく行っているが、規模を広げていきたいと考えている。日本酒のおいしさを多くの人に知ってもらいたい」
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【プロフィル】稲葉芳貴
いなば・よしたか 1984年筑波大に入学。同大学院を修了後、都内の大手百貨店に入社。2008年から妻の伸子さんが蔵元を務める稲葉酒造で代表を務める。54歳。北海道出身。
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≪イチ押し!≫
■透明感ある「プレミアムすてら」
兵庫県産の酒米「山田錦」のみを磨き抜いて造られる「プレミアムすてら純米大吟醸雫酒(しずくざけ)無濾過(ろか)原酒」は、大吟醸の出品が多い全国新酒鑑評会で、純米大吟醸として金賞を受賞した逸品だ。
最大の特徴は透明感のあるフルーティーで華やかな味わい。非常に繊細で透明な日本酒のため、そのまま楽しめるのはもちろん、味にキレもあり、魚や貝などとの組み合わせも魅力的だという。
一滴一滴を酒袋から自然の重みだけで落とした雫酒の透明感を守るために、瓶詰も手作業で行い、余計な臭いや味がつかないよう細心の注意を払っている。「手間はかかるが、些細(ささい)なことで味が変わらないよう最後の最後まで気を抜かない」と芳貴さん。720ミリリットルのみの販売で、税抜き5500円。桐箱付き。