高論卓説

既存事業を強化するデジタル変革 現場を巻き込み全社的に戦略構築を

 この検討を行うためには、顧客の行動を理解している現場担当者を巻き込みたい。会社の考えている方向や、新しい技術でできることを理解してもらう。そして、どのようにすれば、新しい技術を活用して顧客をより快適にすることができるかを考えてもらう。顧客がどのような行動をとっているのか、なぜこのサービスを利用しているのか、といった根本的なことを何となくは分かっていても整然とは話せないことがある。そのために議論を誘導するガイド役も置く。

 すぐには答えが出ないかもしれないが、継続的に場を持つことが重要だ。現場に戻り、これまでよりも顧客の行動に対するアンテナを高く張ることが期待できる。他部門の人と意見を交わすことで新たに思いつくこともあるだろう。デジタル組織やIT部門にも参加してもらうとさらに発想が広がる。

 企業によってデジタル変革の進め方は異なるだろう。だが、経営幹部やデジタル組織だけが理解していても進まない。全社、特に現場のキーパーソンを巻き込み、既存事業を強化する戦略を考えて実行する場作りを行う。そしてこれを継続することが重要だ。

【プロフィル】小塚裕史

 こづか・ひろし ビジネス・コンサルタント。京大大学院工学科修了。野村総合研究所、ブーズ・アンド・カンパニー、マッキンゼー、ベイカレント・コンサルティングを経て、ストラドル シニア・パートナー。主な著書に『デジタル・トランスフォーメーションの実際』。兵庫県出身。

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