金融
全銀協、貸付自粛制度を導入 規制強化前に自助努力急ぐ
全国銀行協会が貸付自粛制度を導入するのは、銀行カードローンの過剰融資が問題視されているからだ。超低金利の長期化で、銀行は利ざや(貸出金利と預金金利の差)の縮小に苦しんでおり、数%~十数%と高い貸出金利が見込めるカードローンは貴重な収入源。金融庁の厳しい指導を受ける中、規制強化を防ぐため自助努力を急いでいる。
年収超える借金問題
銀行カードローン(カードキャッシングなどを含む)の残高は、日本銀行が2013年4月に現行の大規模な金融緩和策を始めたころから急増している。17年度末で5兆8186億円と過去10年間で7割以上増え、過剰な貸し出しが横行していると問題視された。
銀行は貸金業者と異なり、年収の3分の1超を融資できないという上限を設けた「総量規制」の適用外。銀行の看板が持つ安心感も重なり、年収を超える多額の借金を抱えるケースもある。
一方、全銀協が17年3月に利用者の返済能力の把握や行き過ぎた広告の防止を柱とした「申し合わせ」を実施して以降、貸付残高の伸びは抑制傾向にある。
金融庁が18年8月に公表したメガバンクや地方銀行など108行に対する調査では、融資上限枠を設定した銀行も申し合わせ前の約5割から9割まで増加した。
ただ、上限は年収の2分の1が59行と大半を占め、貸金業者と同等の3分の1は9行にとどまる。上限枠がない銀行も13行あった。
日本貸金業協会の貸付自粛制度では、17年度の登録件数は前年度比11%増の2496件と6年連続で増加し、18年度上半期は1265件と17年度を上回る勢い。うち約4割はギャンブルが原因という。貸付自粛が依存症対策として一定の効果があることがうかがえる。