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特別養子年齢引き上げを答申 法制審

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 法制審議会(法相の諮問機関)は14日の総会で、虐待などで実親が育てられない子供に家庭的環境を与える「特別養子縁組」制度の利用拡大のため、原則6歳未満の対象年齢を15歳未満へ引き上げる民法の改正要綱など、計4件の要綱を決定し、山下貴司法相に答申した。政府は今国会に民法と戸籍法の改正案提出を目指す。

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 虐待事件が相次ぐなか、実親との親子関係を解消し、養親の「実子」とする特別養子縁組は年600件程度の成立数で推移している。前提となる試験養育には時間も必要で、対象年齢の上限から縁組が断念されるケースもあるとされ、要綱では小中学生も含む年齢に引き上げる方向となった。

 必要性を決める家庭裁判所の審判手続きも、児童相談所長が申し立てできるように見直すほか、実親、養親それぞれの適性に関する2段階に分割して整理する。

 ほかに答申された会社法改正要綱では、上場企業などに社外取締役の設置を義務化。日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の事件でも注目される取締役報酬は事業報告書に記載を義務付ける事項を拡充し、企業経営のチェック体制を強める。株主総会資料の電子データでの株主提供も促進する。

 戸籍法の改正要綱では、マイナンバーを利用し、年金請求などの手続きで戸籍関係書類の添付を省略したり、本籍地以外での戸籍謄本取得を可能にしたりする。公益信託法改正要綱は、公益事業目的で信託できる民間財産を美術品や不動産にも広げる内容を含めた。

 一方、山下法相はこの日の法制審総会で、土地の所有権放棄の制度や相続登記義務化などの導入に向けた民法と不動産登記法の見直しを諮問した。急増している「所有者不明土地」の解消を目指す。

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  • 法制審議会の井上正仁会長(右)から特別養子縁組制度についての民法改正案などの答申を受ける山下法相=14日午後、法務省

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