レオパレス、疑念呼ぶ企業体質 違法建築3000棟超えへ
ウレタン使用、高音筒抜け
レオパレス21の施工不良問題で、同社が物件の遮音性を調査したところ、特に救急車のサイレンのような高音域で音が筒抜けになる問題が見つかっていたことが分かった。建設工程での生産効率を高めようとして、部屋と部屋の間を仕切る「界壁」の内部に遮音性が低い発泡ウレタンを使ったことが要因とみられる。
遮音性などに問題のある法令違反物件は、すでに判明している771棟からさらに増える可能性があり、業績不安から株価は昨年5月の4分の1に低迷している。
レオパレスは昨年4月と5月に屋根裏の界壁に関する施工不良があったと発表。今年2月に新たな施工不良が明らかになり、問題が拡大した。レオパレスは調査を進める過程で昨年8月ごろに外部の事業者に依頼して調査を実施。発泡ウレタンを使った界壁の遮音性を調査したところ、救急車のサイレンなどで生じる高音域の音で特に遮音性が低いことが判明したという。
レオパレス幹部は「工場での生産効率を高めるために、発泡ウレタンを素材にしてしまった」と話している。賃貸住宅への需要の増加に迅速に対応したい思惑もあったという。発泡ウレタンを使えば界壁を工場で生産する際のスピードが上がるが、遮音性は低くなる。レオパレスの物件では以前から、遮音性が低いことに入居者から不満が出ていた。
レオパレスは新たな施工不良公表と同時に損失引当金として特別損失360億円を計上。このため2018年4~12月期の連結最終損益は439億円の赤字(前年同期は128億円の黒字)に転落し、通期も最終赤字となる見通しだ。前期は1株当たり年間22円だった配当も今期は無配とする。
こうした業績の低迷に加え、ブランドイメージや入居率の低下も予想されることから、レオパレスの株価は急落している。2月18日には取引時間中に、年初来最安値の199円まで下落した。最近の取引では250円前後までは戻しているが、昨年5月につけた直近の高値1023円からは、4分の1の水準に低迷したままだ。