近ごろ都に流行るもの

国民的フルーツ・イチゴ 発電所で通年栽培、ハンバーガーにも

 「われながら良い出来。イチゴをオーブンで低温加熱することで、食感や酸味がまろやかになり、香りが華やかに立つ。アボカドやチーズのコクも、イチゴの邪魔をしていないでしょう」。洋食料理長の大谷勇さん(57)が胸を張った。

 昨秋から試作を重ね、イチゴと相性の良い食材を試行錯誤。バンズのピンク色はイチゴのリキュールを練り込んだ。使用するイチゴは「とちおとめ」。「大きさがほどよく、甘すぎず酸味とのバランスがいい。供給も安定している。料理には難しいと思われているイチゴの可能性を広げてみたい」と意欲的だ。

 イチゴ料理の開発から3シーズン目を迎えた今年は、ピッツァも商品化した。軽く焼かれた薄切りイチゴのフルーティーな味と香りが、生ハムやチーズの塩気と調和し、白ワインにぴったりの一品。黒コショウやハチミツで、飽きずに食べられる。

 若い女性客がインスタグラムで発信してくれたり、噂を聞きつけた地方の生産者が食べに来てくれたりするという。「イチゴはみんなの大好物。今後もひらめいて、納得できる料理ができたら商品化していきたい」(大谷さん)。あくなき探求心から思わぬごちそうが生まれそうだ。

 海外で品種登録されていなかった日本産農産物が海外に持ち出され、無断で栽培されるケースは、韓国のイチゴのほかに中国でのシャインマスカットなども確認されており、日本政府は生産者の海外での品種登録出願を支援している。

 優れた農産物が正当な方法で輸出されるなら大歓迎だ。せっかくおいしい日本のイチゴ。“後味”もよろしくいきたいものである。

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