乱戦「第3のビール」 消費増税逆手に新商品ラッシュ
この結果、第3のビールで強いキリンは同年課税出荷量のメーカー別シェアで、首位アサヒに肉薄している。アサヒが前年比1.7ポイント低下の37.4%だったのに対し、2位キリンは同2.6ポイント伸ばして34.4%と差を縮めた。価格を武器にした商品を戦略的にぶつけてきたキリンの勝負強さが垣間見えるといえる。
第3のビール新商品ラッシュ
今年は消費税増税を控え、価格志向の消費者が割安な第3のビールにさらに流れる公算が大きい。各社はこのため、キリンの背中を追って、相次ぎ第3のビールの自信作を投入する。
アサヒはキレと飲みごたえを両立させた「極上〈キレ味〉」を発売した。ビールに近い「ニアビール」(平野伸一社長)というジャンルで、銀色に輝くパッケージはスーパードライを意識したようだ。
サントリービールは2ブランドを新たに投入。「金麦〈ゴールド・ラガー〉」と「マグナムドライ〈本辛口〉」で、特に金麦は真っ赤なパッケージを採用しており、本麒麟を強くライバル視したのは明らかだ。
サッポロビールも4月に「本格辛口」を出す予定だ。
ただ、迎え撃つキリンは新商品をアナウンスしていない。今年の事業方針として、主力ブランドへの集中投資を打ち出し、「絞りの効いたマーケティングを続ける」(布施孝之社長)ためだ。本麒麟は味覚とパッケージをリニューアルして、さらにユーザー獲得を目指す考えで、今年の販売目標は前年比46.8%増と強気の設定だ。
ビール類市場は危機が叫ばれるようになって久しい。手作り感が売りのクラフトビールも登場しているが、なお成長途上にある。相次ぐ新商品投入で活気づく第3のビールが、ビール離れを起こした消費者を再び振り向かせることができるかどうか。その成否はビール業界の未来を映すことにもなりそうだ。(柳原一哉)
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■第3のビール 大豆やトウモロコシなどを主な原料にした製品と、発泡酒にスピリッツを加えた商品に大別される。ビール類の酒税は税率が3段階に分かれており、第3のビールは最も低いため価格が割安になる。