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JR東、運行現場にAIや自動化技術 働き方改革で

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 JR東日本が抜本的な「働き方改革」に着手した。列車の乗務員についても、育児や介護を理由とした短時間勤務を認めることや、それに合わせたカバー要員として、既に現場から離れた経験者を活用する仕組みを今回導入。柔軟な働き方を運行現場でも実現しようと、人工知能(AI)やロボット、自動化技術などで業務を省力化する取り組みが急ピッチで進む。

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 運行現場では駅員や乗務員、保線、電気などの多様な職種が存在する。輸送トラブルが起きれば、指令は臨時の態勢を組み、乗務員の手配も新たに必要になる。終電の遅れで、予定された保線や電気設備の作業が始められないといったケースもある。勤務シフトを作る際は、さまざまな条件を考慮する必要があり、個々の社員が勤務時間を柔軟に選ぶ仕組みは困難だと考えられている。

 JR東では、旧国鉄時代に採用した55歳以上の社員約1万3000人が今後5年程度で大量退職し、人手不足も間近に迫る課題。AIなど最新技術の積極活用を打開策として掲げる。昨年公表した今後10年程度の経営構想では、運転士に頼らない「ドライバレス運転」の実現やメンテナンス作業へのロボット導入が明記された。

 多言語を使いこなすロボットが外国人や観光客に乗り換え方法を教えたり、駅周辺の飲食店探しに答えたりするAIロボットは、2020年東京五輪・パラリンピックに合わせた導入を目指す。東京や新宿など6駅では昨年12月から、大規模実験が展開された。この年末年始には、山手線で自動運転車両をテストした。運転士は出発時にボタンを押すだけ。専用装置を搭載した車両が、1周34.5キロを走行した。

 JR東の担当者は「社員は自然災害や列車が止まったトラブルなどにきめ細かく対応するなど、高度なサービスに特化するようになる」と話す。

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  • 1月、JR山手線で行われた、自動列車運転装置を使った試験運転。運転士は加減速用のハンドル(左)から手を離している=東京・JR恵比寿駅

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