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ボーイング社、次期超音速高等練習機「TX」を日本に積極売り込みへ

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 【ワシントン=黒瀬悦成】米航空宇宙大手ボーイングは18日までに、米空軍が採用を決めた次期超音速ジェット練習機「TX」を日本の防衛省・航空自衛隊に積極的に売り込んでいく方針を明らかにした。同社の担当幹部が中西部ミズーリ州セントルイスのTX関連施設で明らかにした。

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 次期練習機は、米空軍が約60年間にわたり使用を続けているノースロップ・グラマン社製T38「タロン」練習機の後継機。ボーイングとスウェーデン航空大手サーブが新たに共同開発し、競合他社との機種選定争いの末、米空軍が昨年9月に351機を調達することを決めた。

 高精細な画質で周囲の空間を再現する模擬操縦装置(シミュレーター)46基や地上装備品を含めた契約規模は、総額約96億ドル(約1兆696億円)。引き渡しは2023年に始まり、最初は米テキサス州サンアントニオのランドルフ統合基地で運用されるという。

 TXは、ジェットエンジン1基と2枚の垂直尾翼を備えた複座式の機体で、後席の教官が訓練生を指導しやすいよう、後席を前席よりやや高い位置に配置した「スタジアムシーティング」を採用したのが特徴。アプリを更新するだけで計器の表示を変更できる、タッチパネル式の液晶ディスプレイを組み込んだ先進の「グラスコクピット」も特徴とされる。

 また、操縦性と安定性に優れているとされ、「軽攻撃機にも転用可能」(ボーイング社幹部)。同社のテストパイロットは「将来は(空軍の曲技飛行チーム)サンダーバーズにも採用されるだろう」と話す。

 米空軍は現在、約500機のT38を運用しているものの、老朽化が目立っているほか、将来の主力戦闘機であるF22やF35といった、従来の戦闘機とは計器の操作方法や操縦方法が著しく異なる機体に乗るための高等訓練を行うには適さなくなっていた。

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