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高齢者見守りで「脱下請け」 中小企業、技術活用で狙う 介護人材の不足解消効果も期待
手応えは既に感じている。神奈川県三浦市と川崎市のグループホームなどで実証実験を実施。高度なセンシング技術により認識率は90%超を実現。自宅で98歳の母親を介護する女性は「母は夜間に私を呼ぶことを気兼ねし、私はいつ呼ばれるか分からず眠れなかった。見守りセンサーが通知してくれるので互いに気が楽になった」と話す。
松本正己社長は「高機能・高付加価値商品はあるが、現場で欲しいのは起きた、離れたという情報だ」と指摘する。シンプル・コンパクト・低価格(12万9000円)を武器に、初年度は300台の販売を見込む。
「今年に入ってデモ機の貸し出しや見積もりの依頼が急増している」
鉄道制御システムのソフトウエア開発を得意とするアルコの木田(こた)文二社長は2016年4月に発売した病床見守りシステム「ペイシェントウォッチャー(PW)」のブレークを予感する。
赤外線カメラで部屋の明暗に関係なく撮影。数秒間隔で現在の画像を画面に表示するため、見るだけで部屋の状況を把握できる。他の先行メーカーは「映像はプライバシーの侵害や身体的拘束にあたる」との当局の指導を受け避けてきたが、介護現場から「見えない不安が軽減できる。安全も高められる」と評判を呼ぶようになった。
「特別養護老人ホーム もみじ館」(茨城県水戸市)ではPW導入により巡回回数が平均15回から5回に減り、40分に1回の定期巡回も90分に1回になった。介護職員へのアンケートでは「見えないところで起こっているかもしれない不安から解放され、精神的ストレスが軽減された」との回答が多かった。