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【遊技産業の視点 Weekly View】大人の娯楽としての魅力

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 □ホールマーケティングコンサルタントLOGOSプロジェクト上級研究員・岸本正一

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 パチンコ・パチスロを始めたきっかけは人それぞれだが、各種調査から「誰かに誘われて」「誰かと連れ添って」というパターンが多いことは知られている。しかしながら、パチンコ・パチスロを始めた理由についてはあまり語られることがない。

 私の場合は、パチンコという遊びが「大人の遊び」であり、18歳未満ではこれに興じることができないという点にまずは大きな興味を抱いた。単純に、「大人の遊びへの憧れ」とでも言えばよいのだろうか。そのような「大人の遊び」に興じることで、自らもついに大人の仲間入りをしたと錯覚し、その錯覚を楽しむことに対する喜びや面白さがあった。これはマージャンや競馬などについても同様で、「大人の遊び」に参加する大きな理由の一つとなっていたのは間違いない。

 若年層の遊技参加率が低迷している現在。その理由をさまざまな角度から論じることはできるが、遊技参加する「動機」という点で言うと、今のパチンコ・パチスロには「大人(だけの)遊びとしての魅力」がやや欠けているのではないかと思われる。現代社会における若年層が憧れる「大人の遊び」としての存在感が薄くなっているとも表現できるだろう。

 「電子基板に制御されて、ゲーム機と化した」と言っても過言ではない現在のパチンコ・パチスロは、彼らにとって憧れの対象としての「大人の遊び」ではなく、自らがスマホで興じることのできるゲームと大差のない遊びとして捉えられているのではなかろうか。

 仮にそうであるならば、パチンコやパチスロよりも開発の自由度が高いソーシャルゲームの方が面白いものであり、大人は「ダサい遊びをしている」と切り捨てられても仕方がない。

 やはり、パチンコ・パチスロはいつまでも「大人の遊び」としての突出した存在感を失うわけにはいかない。大人になった証しとして真っ先に経験してみたい遊びとしての独特の雰囲気が、社会におけるパチンコ・パチスロの存在価値をより高めてくれるように思われてならない。

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【プロフィル】岸本正一

 きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。

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