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NTTドコモ、基地局の不具合検知にAI導入

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 NTTドコモが携帯電話の基地局の故障を検知する人工知能(AI)の運用を開始したことが9日、分かった。AIが通信機器のデータを分析し正常時との違いを見つけることで、従来の監視システムでは捉えきれなかった不具合を発見する。第5世代(5G)移動通信方式で基地局の設置数が大幅に増えることから、検査効率を上げ、重大事故の予防につなげる狙いがある。

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 AIの運用は1日から開始した。導入したAIは数値計算や文章データ解析など、複数の技術を組み合わせており、機器の通信量や操作履歴を正常な状態と比較して異常を発見する。

 ドコモの通信網では、基地局や他社の通信網に接続するための設備など、46万台以上の通信機器が稼働している。突然の停止といった故障は、通信機器から東京と大阪の2カ所の監視システムに通知される仕組みで、年間十数万件に上る。

 ただ、一時的な停止など、通知されない不具合も毎日数百件発生していると推定されている。これまでは、通信状態などから熟練社員が経験と勘を頼りに見つけていたため、発見に数日かかることもあった。AIの導入で、1時間ごとに全ての機器をチェックできるという。

 5Gの電波は、特性上、建築物などに遮られやすく、死角ができやすい。通信網をもれなく利用できるようにするには基地局の数を大幅に増やさなければならない。ドコモは今年度中にも、AIが故障の前兆も検知できるようにする。将来的には軽微な不具合には、AIが自動で機器を再起動させるなどの復旧措置も行い、遠隔監視者の負担を減らす計画だ。

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