マネジメント新時代

上海自動車ショーから見える企業の企図 日系メーカーは“再考”の時期

 このような背景もあるのか、今年の上海モーターショーは異常ともいえるほどの新エネ車のオンパレードであった。中国大手メーカーによるEV、PHEVの展示、さらにはあまり名前の聞いたことのない新興自動車メーカーによる多数のEV展示、そして2年以内に投入されるような新エネルギー車の展示も多かった。中国にて多数の自動車を販売しているドイツも積極的であり、それ以外に韓国、米国なども追随した展示であった。

 日本勢は“東京”にらみ

 一方、日系自動車メーカーの企図は、筆者が見る限り、少し違ってみえた。確かにNEV規制が19年から実施されるために、それに合わせて1~2車種のEV、PHEVなどは準備しているものの、それがメインというわけではなく、かつ大々的に打ち出しているわけでもない。

 その背景として、現地生産しようにも、電池供給の問題があったり、新エネルギー車は価格が高いことから、それほど販売量が見込めるわけではないため、ある意味、球出しはするものの、本格的な普及はもう少し後になると判断しているように見受けた。

 さらに、今年は10月末から東京モーターショーも開催予定であり、新型車や新技術は東京で打ち出そうとの思惑もあるであろう。しかし、冒頭に述べたように、東京は海外からの出品が少ないショーとなっており、今後、どこで自動車メーカーの新型車をお披露目するのか、技術をどう打ち出すのか再考する時期に来ているように思われる。

【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。62歳。福井県出身。

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