遊技産業の視点 Weekly View

CSR活動で存在意義強化と理解促す

 杉浦正健氏が会長を務める全日本社会貢献団体機構が4月19日、毎年調査集計している遊技業界(パチンコホールのみ)の2018年における社会貢献・社会還元の調査結果を発表した。それによると、昨年1年間の社会貢献の金額は17億203万7305円で、件数は1万2137件。前年比では、総額で2億9001万円増、件数で754件増だった。(ワールド・ワイズ・ジャパン代表LOGOSプロジェクト主幹 濱口理佳)

 厳しい業況が続く背景で、優先課題とされる遊技への依存対策強化への対応だけでも大きな負担になっている実情で、ホールでは社会貢献についても例年以上に取り組んでいたことが明らかになった。このほか遊技機メーカーや販売会社、周辺機器メーカーの職域でも社会貢献への取り組みは積極的かつ継続的に行われているが、宣伝目的で行っているわけではないなか、積極的にマスコミで取り上げられる機会も少なく、依然、認知は低い現状にある。

 遊技業界では、CSR(企業の社会的責任)という概念も広く定着し、社会に必要とされる産業・企業として持続可能な成長を遂げるべく、その存在意義の強化が図られつつあるが、実は遊技そのものの有用性についても調査・研究してきた経緯がある。13年にはパチスロメーカーの組合である日電協がパチスロ遊技による脳活動調査を諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授の協力のもと実施。パチスロ遊技が脳の認知機能低下予防と向上に寄与することが実証され、これを受けて高齢者施設の慰問を行い、パチスロ遊技が認知機能の低下予防に役立つことを案内した。また業界唯一の横断組織である日遊協では、17年に台湾の嘉南薬理大などとパチンコ・パチスロ遊技の認知症予防効果について共同で調査・研究を行っている。

 多岐にわたる社会貢献活動への注力も社会との共生には大切だが、本業を通じたCSR活動により業そのものの存在意義の強化を図ることも、社会における業の理解を促すために重要だ。たとえば前述のようにパチンコ・パチスロ遊技が超高齢者社会に寄与する事実を、エビデンスを伴う形でアピールすることは、パチンコ・パチスロという遊技機の可能性や、ホールにおける事業の可能性を広げることにもつながっていく。

【プロフィル】濱口理佳

 はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。

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