高論卓説
スタートアップ企業が出資受けるには
さらに、そもそもこれらの技術やビジネスモデルがいかに優れていたとしても、他社に模倣されてしまうリスクもある。いかにエッジの効いた技術やビジネスモデルであったとしても、大企業が資金と時間をかければ、模倣可能であることがほとんどだろう。しかし、特許があればそのリスクをヘッジすることができる。
このように、出資を受けるスタートアップ企業からすると、特許を出願し、できるだけ早く取得するというのは必須であるように思う。出願料の減免や、スーパー早期審査など、スタートアップ企業が特許を取得できるための制度は整っている。そのときに必要となるのが特許戦略である。
どのような内容の特許を取得すればよいのか、ベストな法的手続きは何かといったことを考える必要がある。外部の専門家をうまく利用しながら自社にとってベストな特許戦略を構築する必要がある。
逆に、出資側としてはどうか。出資側で特許を評価することはままあると思うが、適切になされているか。外部の専門家に丸投げしていないか。外部の専門家が適切に評価しているかどうかを判断できる程度の知識、出願明細書を読めるくらいの素地は必要だろう。
◇
溝田宗司(みぞた・そうじ) 弁護士・弁理士。阪大法科大学院修了。2002年日立製作所入社。知的財産部で知財業務全般に従事。11年に内田・鮫島法律事務所に入所し、数多くの知財訴訟を担当した。19年2月、MASSパートナーズ法律事務所を設立。知財関係のコラム・論文を多数執筆している。大阪府出身。