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凸版など印刷大手が日本の魅力発信を支援

 印刷大手が観光や文化といった分野で、日本の魅力の発信を支援するビジネスを強化している。凸版印刷は、東京都内に設けた情報発信拠点で日本の名所や文化を紹介。大日本印刷は、文化財の複製事業に力を入れている。既存事業で培った印刷や仮想現実(VR)、デジタルアーカイブなどの技術を役立てつつ、新たな収益源に育てようとしている。

 凸版は東京・丸の内のオフィス街で、日本の観光立国を支援する情報発信拠点「ニッポン ギャラリー タビドー マルノウチ」を昨年6月から運営している。1階と2階を合わせた延べ床面積は約2千平方メートルと異例の広さで、幅10メートル、高さ2・7メートルの大画面LED(発光ダイオード)モニターなどを導入。デジタルデータ化した文化財や名所を、さまざまな形で紹介している。

 大画面モニターでは、4K対応カメラで撮影した屋久島などの高精細映像を放映。別の場所では現存しない帝国ホテル旧本館を記録写真などから再現し、VR映像として上映している。

 凸版はこの施設を、自治体や企業などと連携して新ビジネス創出を目指す「共創」の場と位置づける。2階はセミナーや商談に活用しており、真梶重徳館長は「同志を募りながら何かをつくり上げていきたい」と意気込む。

 一方、大日本は公開が難しい文化財のふすまやびょうぶ絵などを高性能のカメラやスキャナーで撮影し、金箔(きんぱく)地などに印刷する事業を「伝匠美」の名で展開、これまで100作品以上を複製した。7月14、15の両日には京都市でイベントを開き、新たに複製した国宝「源氏物語関屋澪標図●風(びょうぶ、●の簡易慣用字体が屏)」を含む4作品を公開する予定だ。

 収益は複製代金やイベントの入場料に加え、複製品をポストカードなどの形で販売して得ている。政府は平成27年に8・8兆円だった文化産業の経済規模を、令和7年に18兆円まで拡大させる目標を掲げており、担当者は「関連事業で蓄えた文化遺産のデータなどを活用し、さらに事業を拡大したい」と話している。

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