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台湾から沖縄へ、丸木舟で太古の航海再現 国立科学博物館、移住の謎探る

 約3万年前、ユーラシア大陸から台湾を経由し南西諸島に進出した人々は、どうやって海を渡り、遠い島々に移り住んだのか。当時の航海を再現するため、丸木舟で台湾東部からこぎ出し、風や星を針路の頼りに沖縄県・与那国島を目指す実験を、国立科学博物館の海部陽介人類史研究グループ長らのチームが行う。

 道程を阻む黒潮

 これまで草と竹の舟で失敗、今回が最後の挑戦だ。25日以降、風や波の穏やかな日を選んで出発、200キロ以上の行程を2日ほどかけ航行する。

 約20万年前にアフリカで生まれた現生人類は5万~6万年前、世界各地に向け移動を始めた。日本列島には約3万8000年前、朝鮮半島から到達したとされる。今回の実験のように、大陸と陸続きだった台湾から沖縄へと北上するのは、その少し後のルートだ。しかし、そこには困難が存在する。

 台湾と与那国島の距離は最短でも約110キロあり、目的地は50キロまで近づかないと水平線の上に見えてこない。しかも間には世界最大規模の海流、黒潮が横たわり、遅い舟では漂流の危険がある。ブイを流す実験では、漂流するだけでは着けないことも分かっている。

 だが現に人が住み着いたことを示す古い遺跡が島々にある。男女がそれなりの人数で成功を確信し、海を渡ったはずだ。

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