ビジネス解読
まるで電池版エアバス構想 EV主導権狙う欧州 仏が仕掛ける野望
実際、VWの欧州事業は、電池調達でLG化学、サムスンSDI、エネルギー大手のSKイノベーションの韓国3社と契約している。自動車部品は、複数のメーカーから購入する分散調達が危機管理の基本のため、VWと韓国電池各社との取引関係は今後も続くだろう。だが、先行きは調達量の相当分が欧州資本の電池メーカーとなる電池版エアバス構想に流れる公算は大きい。他の欧州自動車大手も同様で、韓国勢は力を入れてきた欧州市場で割を食うことになり、EV向け電池ビジネスでシェア低下に直面する恐れがある。
一方、電池版エアバスの出現には、日本もうかうかできない。仏独連合が量産を狙う次世代の全固体電池は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とトヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、パナソニックなどが「オールジャパン体制」で開発をリードしてきた分野だからだ。
規制を背景にEVシフトで欧州自動車各社が先行すれば、全固体電池の量産で巻き返される懸念もある。
仏政府とルノーの日産の取り込みを狙う動きも気がかりだ。仏政府とルノーの影響力が、オールジャパンの一角を占める日産の電池技術の知的財産管理などに及べば、日本のEV戦略も揺さぶられかねない。(経済本部 池田昇)
■全固体電池
正極、負極、電解質がすべて固体の電池。車載電池で現在主流のリチウムイオン電池は可燃性の液体電解質(有機電解液)を使用するため、液漏れや発火の恐れがあるほか、高温・低温の温度変化の影響を受けるため、車の航続距離を伸ばすエネルギー密度の向上に限界がある。全固体電池はこれらの課題を解決できるため、電気自動車用電池の本命と期待されている。