ニュースを疑え
インバウンド急増「亡国の落とし穴」 東洋文化研究者、アレックス・カーさんに聞く
――激変を生き残る発想も必要ですね
「古い発想で失敗しているところも多い。ある有名な神社で参拝に便利なようにと境内近くに大型駐車場を設けたら、参道のお土産物店に客が来なくなった。欧州の古い街では車をシャットアウトし、観光客を歩かせるところがある。人が歩くと街は元気になります。何でも便利にという考えがいまでは時代遅れなのです」
――観光の未来について展望はありますか
「近年の観光客の激増は誰も予想していなかった現象ですが、これでもまだ序の口だと覚悟すべきでしょう。中国で旅券を取得しているのは全人口の5%だといいます。インドやアフリカにも中間層が育っている。潜在的な観光客を考え、今後どんな大波が来るかを想像してみてください」
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【プロフィル】アレックス・カー 1952年6月、米メリーランド州生まれ。米海軍所属の弁護士だった父の転勤で子供時代をイタリア・ナポリや横浜などで過ごす。米エール大日本学部卒業後に慶応義塾大に留学。英オックスフォード大で修士号(中国学)取得後に再来日し、古美術商や米不動産会社勤務、京町家の再生などに取り組む。著書に「美しき日本の残像」(新潮学芸賞受賞)、「犬と鬼-知られざる日本の肖像」「観光亡国論」など。1990年代から京都とバンコクを拠点に地域再生コンサルタントを行う。徳島県・祖谷に学生時代に買い「●(=簾の广を厂に、兼を虎に)庵(ちいおり)」と名付けた茅葺きの古民家を所有。
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【企画趣旨】「教科書を信じない」「自分の頭で考える」。ノーベル賞受賞者はそう語ります。ではニュースから真実を見極めるにはどうすればいいか。「疑い」をキーワードに各界の論客に時事問題を独自の視点で斬ってもらい、考えるヒントを探る企画です。