「景気後退の嵐」に備え身構え必要
攻めと守りのバランスを
業績悪化の理由について、若干腑に落ちないこともある。多くの企業は、欧米での販売が振るわなかったと説明している。しかし、米国市場は2.4%、欧州市場は3.1%の減少であり、致命的とはいえない。各市場とも順調に推移してきたことから、積極投資を行ったものの、突然歯車が逆回転したため、インセンティブ(販売奨励金)、工場稼働率の低下、設備投資の回収困難など複合要因が作用したのであろうか。もしくは前期のインセンティブが今期に計上されたのであろうか。
今回の自動車業界の危機に関して、米中貿易摩擦の影響で、それほど長く続かないのではと楽観的な声もあった。しかし、筆者は、購入から利用へとユーザーのマインドが変わり、日本ではまだ認可されていないものの、ライドシェアの爆発的普及がこの低下傾向に拍車をかけているように思える。
ただ、悪い話ばかりではない。中国の新エネ車の販売は、この4~6月期53%増である。18年は通期で126万台であり、このまま推移すると200万台前後に達する。
今年後半を想像するに、さらに荒天になり、本格的な嵐が来そうである。影響を受けるのは自動車メーカーのみならず、自動車部品メーカー、自動運転IT・人工知能(AI)関連企業も含まれる。楽観はできず、いよいよリセッション(景気後退)の嵐が来そうだと身構えることが必要ではないだろうか。不要なものは断捨離し、逆境下でも「攻めと守りのバランス」をどう保つか考える時期に来ている。
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【プロフィル】和田憲一郎
わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。63歳。福井県出身。