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税金を払わぬ巨大企業 日本だけの問題ではないGAFAの法人税逃れ

 ビッグデータは現代の「原油」

 第3の変化は、企業価値が「無形資産」に転化したことです。デジタル財・コンテンツの本質は、著作権や特許権などの無形資産です。さらにはGAFAが価値を生み出しているビジネスモデル自体無形資産です。つまりデジタル経済の下では、企業価値は無形資産によって成り立ち、集積されるということです。

 しかし、無形資産ほどその価値を適正に評価するのが難しいものはありません。会社内部で形成され関連会社間で取引されるので、第三者的な比較対象取引はありません。また、取引時点において、ある無形資産が将来どの程度の所得を生み出すかについての確たる予測は、当事者ですら困難でしょう。価値の評価が難しいということは、課税上大きな問題を生じさせます。

 無形資産にはこのような特徴がある上、権利の移転が容易なので、低税率国やタックスヘイブンにある関連会社などに移転することにより、租税が回避できるということにもなります。そこでOECDで長年、無形資産についてはグループ内部の取引であっても、独立企業間で取引する際の価格(独立企業間価格)を適用することを原則とする移転価格税制として議論の積み重ねが行われてきました。しかし未だ、この問題は解決されておらず、今後とも税務当局間、さらに企業との間でさまざまな議論が行われていくと考えられます。

 4番目の変更は、ビッグデータの存在です。デジタル経済の下で価値を生み出す無形資産の基礎となるのは「ビッグデータ」です。これまではデータの分析では原因と結果の「因果関係」を求める作業が重要でしたが、今は、一方が変化すれば他方も変化する関係である「相関関係」を求めることが重要になっています。「膨大な電子カルテのデータから、オレンジジュースとアスピリンの組み合わせで癌が治ることが言えるなら、正確な理由はどうあれ、この組み合わせが癌に効くという事実のほうがはるかに重要となる」(マイヤー=ショーンベルガー他『ビッグデータの正体』)のです。

 英エコノミスト誌(2017年5月6日号)は、“Data is giving rise to a new economy”という特集の中で、ビッグデータを石油の埋蔵量と同様と表現し、ビッグデータの流入は、新たなインフラであり、新たなビジネスであり、新たな独占であり、新たな政治であり、新たな経済であると評しています。とりわけ、データ解析の質が向上したことから、人々の年齢・性別・所得などがリアルタイムで把握でき、SNSを通じて写真やビデオまで紐付けられ、これから世界は全てセンサーでつながること、さらにはそのような進歩により日々データの価値は上昇し、AIを活用することによりターゲット広告をはじめ、さまざまな認識サービスに活用され、新たな収益源となっていることが述べられています。

 ウーバーも電気自動車メーカーのテスラも、企業価値はそのビジネスモデルというより、保有しているビッグデータにあるとも述べています。ビッグデータは今日「新たな富」と呼ぶにふさわしい存在になったと言えるでしょう。

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