麦茶殻で緩衝材作る新技術 伊藤園、ノーリツと共同開発
伊藤園は、ガス機器販売のノーリツと共同で、麦茶飲料の製造に伴って排出される茶殻を活用した物流用の緩衝材製造技術を開発した。茶殻のリサイクル技術を確立し、これまで主流だった飼料や肥料以外の活用を目指す。
環境に配慮した企業の取り組みを評価する意識が高まる中、投資家にアピールする狙いもある。
伊藤園によると、リサイクルするのは、業界でトップシェアを誇るペットボトル入り麦茶飲料「健康ミネラルむぎ茶」などを抽出した後の茶殻で、緩衝材の製造に必要だった古紙の代替とする。茶殻活用で古紙使用量を約20%削減。粘性の高い麦茶の茶殻を使うことで、緩衝材の強度を上げ、重量は7%削減できる。同社は従来より軽くて強度の強い緩衝材を普及させていきたい考えだ。
麦茶抽出後の茶殻は水分を多く含んでいるため腐りやすく、工業用の原料にするには不向きだった。これまでは、飼料や肥料など水分が含まれても差し支えない用途にリサイクルが限られていた。
しかし、飼料や肥料の市場が伸び悩む中、新たなリサイクル用途を模索する必要があり、水分を含んだ状態の茶殻でも、腐りにくくする技術を開発した。
新技術を開発する背景には、茶殻“供給量”が増加したという影響もある。
冬場の乾燥対策やスポーツドリンクの代替、医療機関からの水分補給用飲料として推奨されるなど、夏の風物詩だった麦茶の冬場の需要が高まっており、2012年には年間1万2100トンだった同社の麦茶殻の排出量は、18年では年間2万6500トンと約2倍に急増している。
伊藤園は、これまでも緑茶の茶殻を利用し、名刺やベンチの表層材、自動販売機の熱を抑えるシートを開発するなど、環境を意識した取り組みを進めている。麦茶殻についても他用途への活用を検討しているが、技術的に解消されない課題もあり、他社との協業が鍵を握る。(出口賢太郎)