京都発 輝く

“一子相伝”金市商店 柔軟な発想でハチミツの新需要を開拓

 大正・昭和のレトロな建物が並ぶ京都・三条通沿いに本社を構え、関西の主要百貨店にも出店する直営店「ミール・ミィ」を通じ、国内の養蜂家から直接仕入れたハチミツを販売する。新商品も相次ぎ販売し、伝統と革新の街・京都で異彩を放つ。

 “一子相伝”で学ぶ

 会社を率いるのは、2016年に社長に就いた創業家3代目の市川拓三郎氏(35)。「振り返ると、幼稚園、小学校の文集などに『ハチミツ屋さんになりたい』と書いており、家業を継ぐことは当然と思っていた」。創業者の祖父、そして父から品質の良いハチミツを見分ける目利き力を“一子相伝”で学ぶ一方、営業担当の母からは国内消費が減るハチミツの新たな魅力づくりの大切さを教わった。

 会社の創業は昭和の初期。当初は青果などを扱う個人商店だったが、現在の本業となるハチミツを取り扱うきっかけが、戦争だった。当時、砂糖は配給物資となり、京都の和菓子屋は甘味の原料の仕入れに困っていた。一方、戦争の影響で滋賀県へ疎開した祖父、末吉が養蜂家と知り合い、ハチミツを仕入れることができるようになり、困っていた和菓子屋に砂糖の代用品としてハチミツを提供した。

 戦後、株式会社としての設立を機に本業をハチミツの仕入れ、販売に専念するようになった。ただ、時代は平成に代わり、消費の多様化などでハチミツの需要も徐々に低迷。父の代ではハチミツの需要を少しでも広げようと1998年、造語で「私のハチミツ」を探してほしいという意味を込めた直営店「ミール・ミィ」の展開を始め消費者向けの小売り事業を強化した。

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