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ロボット兵器の規制明記せず 国連会議、人道法適用の指針盛る

 人工知能(AI)を備え、自動で標的を識別して攻撃の判断を行うロボット兵器の規制に関する国連公式専門家会議は22日、兵器運用に当たり国際人道法を順守することなどの指針を盛り込んだ議長報告を取りまとめた。各国の意見の隔たりが大きく、中南米諸国や非政府組織(NGO)が求める、法的拘束力を持つ条約などによる規制方針の明記には至らなかった。

 報告書は、来年からの2年間でさらに協議を続け、2021年の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)再検討会議に向けて「規範・運用枠組み」の策定に向けた取り組みを提言。CCWは全会一致が原則で、兵器開発を進める米国やロシア、イスラエルなどは規制に後ろ向きのため、枠組み策定が実現した場合でも、法的拘束力を持つ形式を取るのは困難とみられる。

 20日からの会議では、ロシアが報告書草案に細かく注文を付け、「兵器システムの特質や機能を著しく変更するもの」は開発段階から国際人道法に沿って運用されるように検証することを求めた項目が削除された。「(国際法を順守するという)人間の判断が、機械に取って代わられることはできない」との表現も、米国の要求を受けて削られた。

 日本政府はロボット兵器開発の意思はないが、民生ロボットやAIの技術革新を阻害することがあってはならないとの立場。現状では法的拘束力のある規制は時期尚早としているが、さらなる議論を踏まえた成果文書の策定を求めている。(ジュネーブ 共同)

 菅義偉官房長官は22日の記者会見で、人工知能(AI)を備えたロボット兵器の規制に積極的に関与していく考えを示した。「人道と安全保障の視点を勘案したバランスの取れた議論が行われるよう、国際ルール作りに積極的、建設的に参加していく」と述べた。

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