現場の風

ジャパン・デジタル・デザイン 「リブラ」は国際送金など利点多い

 □ジャパン・デジタル・デザインCTO(最高技術責任者)・楠正憲さん(42)

 --フェイスブックの暗号資産(仮想通貨)「リブラ」についてどう見ているか

 「これまでフェイスブックでは友達同士で自由にメッセージのやり取りができたが、リブラが使えるようになればお金も送れるようになる。しかも手数料は安く、国境を越えた送金も手軽にできればメリットは大きい」

 --新興国などへの支援も目的に掲げている

 「世界には銀行口座を持たない人が多くいる。お金をためる場所がなく、送金もできないし、インターネットでの買い物もできない。銀行口座を持たないことでさまざまなチャンスを失っており、リブラはこうした人たちに金融サービスを提供する可能性をもっている」

 --課題やリスクを指摘する声も多い

 「マネーロンダリング(資金洗浄)対策をはじめ、課題がたくさんあるのは事実だ。どうクリアしていくか考えないといけない。ただ、ビットコインが出てきた段階でこうした課題は分かっていた。指摘されている一連の課題は27億人のユーザーがいるというスケールの大きさ以外は既に出ていた論点で、リブラによって惹起(じゃっき)された問題ではない」

 --リブラの活用は広がっていくか

 「それほど簡単ではない。27億人のユーザーがいるといっても規制をクリアするのに不可欠な本人確認はできておらず、一人一人をチェックしていくのは大変だ。銀行口座を持たない人にとってはリブラを買うことも容易ではないだろう。リブラ協会には、配車大手のウーバー・テクノロジーズなどが入っている。こうしたサービスを使う際、今はクレジットカードで支払っているが、リブラで支払えばお得になるといったサービスは出てくるだろう。そういったところから広がっていく可能性はある」

【プロフィル】楠正憲

 くすのき・まさのり 神奈川大経卒。マイクロソフト、ヤフーなどを経て、2017年10月から現職。日本仮想通貨交換業協会理事、東大院非常勤講師なども務める。熊本県出身。

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