経済インサイド

訪日客4000万人時代へ ホテルが挑む差別化戦略

 急ピッチで訪日外国人旅行者(インバウンド)が増える中、明確にインバウンドをターゲットにした新しいタイプのホテルが相次いでいる。欧米の富裕層を意識したラグジュアリーの超高級ホテルの一方で、若者をターゲットにした低価格タイプなどさまざまだ。政府が令和2年に4000万人、さらに12年には6000万人の訪日外国人旅行者数を目標に掲げる中、これまで特にインバウンドメーンを打ち出すことは少なかったホテル各社も、対応を大きく変えて取り組んでいる。

 「令和2年の訪日外国人の旅行者数の4千万人の政府目標は達成するかもしれないが、同じく2年に訪日外国人旅行者の総消費額を8兆円に引き上げる目標の達成は、今のままでは厳しい。そのためには富裕層の旅行者を増やし、1人当たりの消費額の拡大につなげ、日本経済を底上げする必要がある」

 今年6月に東京・銀座2丁目で、超高級ホテル「東京エディション銀座」建設に着工した森トラストの伊達美和子社長は、インバウンドを意識した高級ホテルの意義を強調した。

 同ホテルは、米マリオット・インターナショナルに運営を委託。「エディション」ブランドは、マリオットでは最上級のブランドと位置づけられている。さらに、新国立競技場を設計したことでも知られる建築家の隈研吾氏がデザインを手がけるなど、ハイグレードなホテルだ。

 同社は現在、19の高級ホテルプロジェクトを進めており、訪日の富裕層が、都市やリゾート地の高級ホテルを回遊し、消費を呼び込む戦略を打ち出している。

 外資系でも英大手のインターコンチネンタルホテルグループ(IHG)が大分県別府市にラグジュアリーブランドホテルを8月開業。別府は国内有数の温泉地だが、外資の高級ホテルは初だ。

 IHG日本法人のハンス・ハイリガース最高経営責任者(CEO)は、「欧米からの旅行者に、日本の温泉文化をうまく伝えられていなかったが、今回のプロジェクトで“新しいスパリゾート”を提案したい」とし、富裕層の訪日旅行客を、日本の温泉と高級ホテルを組み合わせた新提案で取り込む方針だ。

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