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低速EV 地域や観光で活躍 巡回バスやレンタカー 高い安全性

 地域住民や観光客の新たな移動手段として、公道を低速で走る電気自動車(EV)の活用が広がっている。ゴルフ場のカートのような小型タイプから10人以上が乗れるバス型まであり、地方自治体による試験運行が活発だ。公共交通の一部として巡回バスに利用している地域もある。

 時速20キロ未満で走る低速EVは大きな事故を起こしにくく、住宅地や観光地をゆっくりと巡るのに向く。家庭で充電できるため、ガソリンスタンドのない地域で使いやすいのも特長だ。

 将来は自動運転化も可能とされており、国土交通省や環境省は4人乗り以上の低速EVを「グリーンスローモビリティ」と名付けて普及を後押ししている。

 国交省などによると、これまでに群馬県桐生市や富山県黒部市の宇奈月温泉地区、松江市などで、住民や観光客向けの無料巡回バスやレンタカーとして採用された。東京都豊島区も11月から、JR池袋駅と近くの公園や商業施設を結ぶバスを走らせる。このほか静岡県沼津市、岡山県備前市など、全国10地域以上で試験運行が行われたという。

 大阪府河内長野市は年内にも、高齢化が進むニュータウンでカート型を使った試験運行を始める計画だ。担当者は「乗り降りしやすく、近所に出掛けるのに便利。外出をためらいがちなお年寄りもいるので、お出掛けの頻度が増えるといい」と期待する。

 広島県福山市の景勝地、鞆の浦地区では、4月に地元のタクシー会社がカート型1台を導入。主に観光客向けで営業範囲は東西3キロ程度に限られるが、狭い路地も走れるため住民も利用しているという。

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