ビジネスアイコラム

「悪代官的システム」消費税率アップ 保守主義は経世済民思想に回帰を

 景気悪化の際には、景気対策には公共投資の追加など大型補正すれば済むではないか、とは安易すぎる。確かにこれまではそれが定石とされてきたが、実のところは不毛な結果しか生んでいない。経済への波及効果は一過性で、持続的成長をもたらさない。財政面では税収増につながらず、政府債務を膨らます。地方では建設業界に人手が足りず、公共事業を消化できない。業界は、政府のその場しのぎの公共投資計画を冷静に見る。受注が増えても一時的で、翌年度には一転してカットされるのが常だから、人員補充に消極的だ。

 消費税は導入以来、日本の経済成長を大きく左右してきた。消費税増税は国内総生産(GDP)の6割を占める家計消費を痛めつける。このシンプルで不都合な真実について、財務官僚の言いなりになりがちな政官財、さらにメディアもエコノミストも目を向けてこなかった。

 景気はもっぱら外需頼みで持ち直すが、脆弱(ぜいじゃく)だ。日本の経済成長率は主要国中、最悪、最低の水準で推移してきた。1997年度と2018年度を比べると、家計消費(持ち家のみなし家賃を除く正味ベース)は8.5兆円増えたが消費税収増加額8.3兆円で、消費税負担を勘案すれば家計消費は実質的にはほとんど増えていない。景気を反映する税収合計額は6.4兆円増えたのみで、消費税収増分を下回る。細る家計からむしりとるだけの国家財政とは、かのコルベールもあきれるだろう。

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