高論卓説
世界で広まる燃費規制 次世代車の姿、国内大手に決断迫る
欧州のバーンスタイン証券の試算に基づけば、成り行きで21年には250億ユーロ(約3兆円)のペナルティーを支払うことになる。一方、CO2規制をクリアするには130億ユーロのコストを電動化に向けなければならない。どっちに向かっても、欧州市場を中核とする自動車メーカーには厳しい道のりが控えている。
モーターショーの中で、欧州メーカーは20、21年の数量増加、電動車の構成比上昇に期待し、収益改善と燃費規制準拠の両立が可能だと比較的楽観的な見通しを発している。しかし、これはいかにも空元気に映った。
努力を重ね開発してきたe-Mobilityの市場投入時期を迎えたことは事実であるし、評価できるところはある。しかし、販売台数を楽観することは難しい上、そもそも採算性は低く収益への悪影響は甚大だ。
台数圧迫、規制対応コスト上昇、企業平均燃費未達のペナルティー、業績低迷という厳しい業況が欧州勢には避けられそうもない。全体収益のバランスを考慮すれば、e-Mobilityだけに頼るのではなく、欧州勢にも効率の高い高電圧ハイブリッドシステムは手の内に加えたい技術ではないか。
ただ、ライバルのトヨタ自動車の技術を導入することへ抵抗は強かった。そのハイブリッド技術をオープンに提供しようというのが、アイシン精機とデンソーが設立したBluE Nexus(ブルーイーネクサス)だ。