高論卓説

豚コレラ感染拡大に嘆く 政府は自然災害と認識し対応急げ

 そもそもワクチン散布は、ドイツをはじめ欧州の手法だ。日本の山々は欧州と異なって険しい。政府は豚コレラを甘くみたと私は気をもんだ。豚に直接ワクチンを接種するのが一番だが、農水省は慎重であった。動物衛生の国際基準を策定する国際獣疫事務局(OIE)が清浄国から格下げすることを恐れたのである。非清浄国となれば、先進国への輸出は困難となる。ブランド豚肉の輸出は続けねばならず、政府の決断は遅れた。豚へのワクチン接種は決定したが、地域限定となろうか。

 豚コレラ窮余の方針転換を農水省がしたが、野生イノシシの駆除についての説明がなかった。ワクチンを豚にいつまで接種するのか、農水省の政策は説得力に欠ける。鳥獣被害を自然災害と決めつけ、国が本気になって駆除に取り組む必要がある。

 大日本猟友会の資料によれば、猟銃所持者数は全国で10万5000人である。1970年前後には40万人以上もいたが、激減した。プロの猟師がいなくなったからであろう。これでは日本の山々は野生動物の楽園となって当然だ。そこで、自衛隊員や警察本部の機動隊員に狩猟免許を取らせ、計画的に狩猟のための山狩りを行うくらいの本気度がなければ、鳥獣被害から農家を守ることはできない。

 「豚コレラ」の発生、ワクチン接種、この対応だけで何の教訓も得なかったのか環境省と農水省。野生動物による農業被害は、昨年度で164億円、2019年度は240億円に達した。政府に「投石本能」を喚起させ、家畜と農林業を守るために狩猟の必要性を訴えたい。

【プロフィル】松浪健四郎

 まつなみ・けんしろう 日体大理事長。日体大を経て東ミシガン大留学。日大院博士課程単位取得。学生時代はレスリング選手として全日本学生、全米選手権などのタイトルを獲得。アフガニスタン国立カブール大講師。専大教授から衆院議員3期。外務政務官、文部科学副大臣を歴任。2011年から現職。韓国龍仁大名誉博士。博士。大阪府出身。

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