山本隆三の快刀乱麻

製造は簡単も生き残り難しく…果たしてEVは世界を席巻するか

 淘汰進める中国

 自動車産業は裾野が広くて雇用も多いため、多くの新興国は自動車産業を育てようと注力している。中国も例外ではないが、部品数の多い内燃機関の車で欧州、日本並みの高品質車を生産するには時間がかかる。

 部品数が少ないEVであれば、中国企業も比較的簡単に製造技術を取得できる。中国政府は今年から、年間3万台以上の内燃機関の車を製造あるいは輸入する国内メーカーを対象にNEV規制を本格導入し、各社は販売するNEVの乗用車に関しクレジットを獲得することが可能になった。そのクレジットを販売台数に対し、19年は10%、20年は12%を達成することが義務づけられた。

 クレジットは車の性能に応じて付与される。例えば、PHEVなら1台2クレジット、航続距離が150~250キロメートルのバッテリーを搭載したEVであれば3クレジットが与えられる。目標値達成が難しい場合は、他社から余剰のクレジットを購入し達成することになる。

 さらにインセンティブとして、EV購入に対する補助金制度も導入され、EVメーカーが乱立することになった。しかし、米中貿易摩擦の影響で景気が減速する中、EVの販売も想定されたほどの伸びを示さなくなっている。

 中国政府は、EVメーカーの淘汰を図るため、航続距離250キロメートル以下のEVについては購入補助金を打ち切り、それ以外の車は50%削減することにし、6月26日から実施した。今年前半のEV販売台数は63万台だが、後半の販売は影響を受けそうだ。

 さらに中国政府は、EV製造を許可する条件も設定し、研究開発費と過去の販売実績が少ないメーカーは淘汰される見込みだ。また、EVメーカーは市場からの資金調達も厳しくなっている。

 低所得国は導入不振

 米国ではオバマ政権時、全米の排ガス規制値強化が決定された。しかし、自動車業界団体からの陳情もあり、トランプ政権は排ガス規制値強化を見直し、21年の規制値である1ガロン当たり37マイルを25年まで据え置く方向だ。エネルギー産業を支持基盤に持つトランプ政権は、排ガス規制強化によるエネルギー消費削減、EV導入には熱心ではないのだろう。

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