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アップルの“告げ口”でサムスンに危機? 貿易戦争を揺るがす一声

 とにかく、クックのトランプに対する影響力はかなり強いといわれている。

 サムスンのビジネスを左右する、アップルの動き

 トランプ政権は現在、中国との貿易戦争の真っ只中にある。簡単に背景を記すと、18年3月、国家経済会議(NEC)の委員長が辞任を発表し、中国に対して強硬な姿勢を貫くピーター・ナバロ大統領補佐官の存在感が、やはり対中強硬派のウィルバー・ロス商務長官の存在感と相まって高くなった。そこから対中の貿易戦争が本格始動する。

 交渉は決裂し、18年7月に発動された対中関税の第1弾から次々と関税措置が発表された。第4弾となる制裁関税は19年9月1日に発動したが、現在、一部品目は12月15日まで発動が延期されている状態だ。その品目には、スマホやノートPC、ゲーム機など約550品目が含まれ、iPhoneなども対象となっている。

 冒頭のサムスンに絡む話は、トランプとの関係を何年もかけて築いてきたクックによる「告げ口」に他ならない。トランプが、耳を傾け、理解を示したのも仕方がないのかもしれない。クックにしてみれば、アップルのビジネスを考えれば当然のことという感覚だろう。

 とはいえ、「一民間企業のトップがお願いしたことに対して、大統領たるものが『はいはい』とすぐに応じるわけがないでしょ」と思うかもしれない。それは正しい反応だが、ただそこはトランプ。実際にはそんなことが起きている。実は、iPhoneなど一部品目に対する対中関税制裁の第4弾が12月15日まで延期になったのは、クックがトランプの娘婿であるクシュナーに電話を入れて、「これじゃサムスンに負ける」とトランプに直談判したからだとされる。クックが第4弾の発動を延期させたのである。結局、トランプ政権は「クリスマスシーズンを考慮した」という名目で、iPhoneなどへの発動を12月15日まで延期した。

 クックにはそれほどの「声」があるということだ。

 今後、サムスンはトランプのツイートから目が離せないだろう。サムスンという企業にはクックのようなCEOがいないため、トランプの動向を、それこそ「大金をはたいてコンサルタントを雇う」などして見ているしかできないのかもしれない。または大金を使ってロビー活動をするしかない。

 このままいけば12月15日には第4弾が全て発動される予定だが、トランプはサムスンに対して米市場で何らかの措置を行うのか、はたまた米中貿易戦争の関税からアップルを救うのか。さもなくば、さらなる発動延期を行うのか。かなり強引な動きを躊躇(ちゅうちょ)なくやってしまうトランプだけに、サムスンは気が気でないだろう。

 もともと、トランプは韓国に対して上から目線で軽視している感じすらある。18年の米韓FTA(改定米韓自由貿易協定)の再交渉でも、トランプは担当のロバート・ライトハイザー通商代表に対し、韓国に「脅し」をかけたら余裕で「ディール」できるとアドバイスしている。また19年8月にも、ニューヨークの講演でこんなふうに韓国をばかにしている。「韓国から十億ドルを取るのは、(ニューヨーク州の)ブルックリンのアパートの住民から114ドル13セントの家賃を回収するより、よっぽど簡単だったね」

 とにかく、しばらくはトランプがどんな動きを見せるのか要注目だ。(山田敏弘、ITmedia)

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