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東芝の9月中間、営業益7・5倍に インフラやエネルギーが黒字化

 東芝が13日発表した令和元年9月中間連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比7・5倍の520億と大幅に増え、3年ぶりの水準を達成した。ただ、売上高に占める営業利益の割合は3%と低く、「稼ぐ力」が身についたとは言い難い。今年度から新中期経営計画をスタートさせ、5年後に電機業界でトップクラスの収益力を達成するとしている同社だが、復活に向けた正念場はまだまだ続きそうだ。

 中間期は、上下水道や鉄道システムといった「インフラ」や、発電設備や原子力を含む「エネルギー」など3部門が、受注案件の採算改善などで黒字化した。その結果、「その他」を除く6部門すべてで黒字となった。 

 一方、売上高は昨年秋にパソコン事業をシャープに売却した影響もあり、3・7%減の1兆7114億円と縮小。最終損益は1451億円の赤字(前年同期は1兆821億円の黒字)に転落した。同社が約4割を出資し、半導体メモリーを手掛けるキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の不振や、米液化天然ガス(LNG)事業の売却で900億円近い損失を計上したことが響いた。

 上期の結果を踏まえ、同社は1400億円としていた通期の営業利益予想を据え置いた。車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO)は同日の決算記者会見で「収益構造は着実に変わりつつある。上期は(中期計画達成に向け)非常に良いスタートを切れた」と順調さを強調した。

 ただ、上期の増益は昨年から実施してきた人員削減を含む構造改革が成果を出した影響が大きい。削減の余地が乏しくなる中、今後はコスト削減以外による稼ぐ力の育成が急務。同社は4年3月期に営業利益2400億円を目指しているが、達成にはもう一段の努力が不可欠だ。

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