金融

大手行 金融商品の手数料収益振るわず

 大手銀行5グループの2019年9月中間連結決算は4社が最終減益となり、大手行の低調ぶりが鮮明となった。

 超低金利の長期化で融資の利ざやを稼げない中、各行は金融商品の販売手数料を収益源にシフトしてきた。だが、顧客本位の業務運営の必要性から個人向け営業ノルマの廃止が本格化したこともあり、手数料収入は減少傾向にある。

 預金に手数料を課す「口座維持手数料」導入の必要性も一部では浮上しているがその動きは鈍い。

 「個人(の営業ノルマ)目標をなくしたことで、収益に著しい悪影響を与えたとは思っていない」。三井住友フィナンシャルグループ(FG)の太田純社長は13日の決算会見で強調した。

 三井住友銀行は今年4月、支店の評価基準を見直し、投資信託や保険といった金融商品の販売額を評価する項目を廃止、事実上のノルマをなくした。為替変動で収益が目減りする外貨建て保険の元本割れで高齢者から苦情が増えるなど問題が表面化し、金融庁が目先の収益より顧客の満足度を重視する営業体制に改めるよう各金融機関に要請しており、三菱UFJ銀行やみずほ銀行なども同様にノルマ廃止に踏み切っている。

 ただ、今回の中間決算では三菱UFJ銀や三井住友銀、みずほ銀が、手数料収入で大幅なマイナスとなった。大手行関係者は、厳しい販売目標がなくなったことが「手数料収入が落ち込んだ要因の一つ」と認める。

 一方、日本銀行が今後、景気刺激のため政策金利を引き下げた場合、新たな収益源として口座維持手数料を検討する動きもある。ただ、預金の流出を恐れて導入をためらう銀行は多い。

 金融政策と連動して導入すれば、逆に金融緩和を手じまいする局面で撤回を求められる恐れもある。各行は「手数料はサービスの対価として徴収するのが基本的考え方」(三菱UFJ銀の三毛兼承社長)として、金融政策とは切り離して考えるべきだと主張する。いずれにせよ、追加緩和観測が高まっている現状では導入は難しく、手足を縛られた状態だ。(西村利也)

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