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需給反映「時価チケット」が拡大中 AIが値付け、企業収益増で評価

 商品の需要と供給に応じて価格を変化させる「ダイナミックプライシング」が、プロ野球、Jリーグを含むスポーツや音楽イベントなどに広がっている。人工知能(AI)を使い過去の販売実績や季節などを考慮し、需要予測を基にチケット価格を日々上下させる。航空券やホテル料金では浸透しており効率的に収益を上げる狙いが注目を浴びている。

 プロ野球のオリックスは今年7月16日、主催試合の当日席を対象にダイナミックプライシングによるチケットの販売実験を行った。結果、ほぼ同条件だった翌17日と比べチケットの平均単価は2%安かったが、販売数量が17%、チケット収入が14%それぞれ多くなった。担当者は「非常に面白い結果だ。来シーズンもお客さんの反応を見て試してみたい」と評価する。

 この実験を率いたのは「ダイナミックプラス」(東京)で、三井物産などが出資し、2018年に設立した。過去や直近の販売実績、季節、対戦相手などのデータを基にAIを駆使して需要を予想。その時点の適切な価格を算出し販売するため「全体の収益を増やせる」(平田英人社長)という。また人気チケットが転売サイトで不正に高値で販売されることも抑止できると強調する。

 11月下旬には全席をダイナミックプライシングで売り出す音楽イベントも予定されており、活用は徐々に拡大している。

 一方、価格が過度に上がったり、下がったりした場合に消費者から理解を得られないという課題も。平田氏は必要に応じて価格の上限や下限を設定することが重要で「消費者の心理まで検討した上で普及させる必要がある」と話す。今後は小売業や配送関連業とも連携を模索していくといい「裾野を広げていきたい」と意気込む。

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【用語解説】ダイナミックプライシング

 需要と供給に応じて商品の価格を柔軟に変動させる仕組み。定価販売で商品が売れ残ったときや、より高値で売ることができた場合の機会損失を減らす狙いがある。国内では航空券やホテルの宿泊料金のほか、駐車場料金や小売業などでも導入や実験が進んでいる。人工知能(AI)の発達で膨大なデータ処理と需要予測が可能になったことが背景にある。

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