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「コンピューターに心は無い」 あの引退IT風雲児が人間らしさにこだわるワケ

 そんな中での「経営者引退」な訳ですが、10月16日付の米金融経済系ニュースサイト、ビジネスインサイダーなどによると、マー氏は前日の同月15日にシンガポールで開かれた「フォーブスCEOカンファレンス(会議)」で、引退後の過ごし方のひとつとして、既に中国国内に幼稚園や小学校、高校を立ち上げたと明言。過去5年間で農村部の教師たちと仕事を共にした経験を生かし、英語教育に関する新たなアイデアを発展させたいとの意向を示しました。

 そして、さらに深刻な問題として、今後20~30年以内にいまの教育システムが変化しなければ、若い世代はデジタル時代を乗り切るのに十分な能力を身に付けることができなくなるとの懸念を表明しました。

 “人間は不要”AI(人工知能)時代こそ「人間らしく生きる」方法と教育が…

 マー氏は、頭(脳)で物事を考える明敏で頭の切れる人々の例として、アリババの従業員を挙げ、「彼らは知的で、とても誇りに思う」とたたえるとともに、心で考える賢者であることが最も好ましいと考えていると明言。そして、こう訴えました。

 「頭が切れる人々のほとんどは、誰かに勝つことを望んでいるが、僕はこうした人々に人間らしく生きる方法や、他人を思いやる方法を学ばせたい。彼らが他人を気にかける方法、未来を気にかける方法、人間らしく生きる方法を学べば、企業は暖かい場所となり、物事はスムーズに進み、ソフトパワーが得られます。でなければギャングたちのグループができるでしょう。このことが、私がより賢明な人や指導者が必要と考える理由です」

 「高性能のコンピューターは、常にあなたより頭は切れますが、賢くなることは決してありません。なぜなら、コンピューターには心がなく、チップしかないからです。だから私は、人間は常に(頭と心の両方で考える)賢者になるため、学ぶべきだと思うのです」

 さらにマー氏は、これから本格的に到来するAI(人工知能)時代に向け、子供たちに「人間らしく生きる」方法を教えるよう、教育システムを変更する必要があるとの考えを示唆。人々の心を引きつける芸術的な仕事として、音楽やダンス、絵画、スポーツなどの技術や才能を伸ばすことが「非常に重要」であると強調しました。

 またマー氏は、他に重要な才能や技術として、独立した思考や革新性、創造性を挙げ「若者が成功について学び過ぎると、彼らは簡単に成功できると思う。なので、間違いから学びましょう。間違いを恐れないでください。間違いを犯したとき、それと向き合う方法、それを解決する方法、挑戦する方法を学んでほしい。それが知恵と呼ばれるもので、未来の子供たちに教えるべき事柄なのです」と述べました。

 アリババを創業する30代半ばまで、失敗だらけの人生だったマー氏。過去にも「100万ドル(約1億円)あれば幸せだが、1000万ドル(約10億円)だとトラブルと頭痛の種だ」「金持ちの父親も有力者の叔父もいない。持っているのは応援してくれる顧客だけだ」との名言を連発していますが、今回の助言の数々も説得力に満ちていますね。そして彼は最後にこう締めくくりました。

 「若者を信用してください。私は成功者や高齢者よりも若者を信頼しています。なぜなら、専門家は過去しか語らないからです。未来を語る専門家はいないでしょう。成功者のほとんどと仕事をしていますが、彼らが語るのは過去だけです。われわれは新たな世紀、そして新たな世界に突入しています。若者たちと仕事をしている時、あなたは未来について語っているのです…」(岡田敏一)

 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

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