金融

三菱UFJ銀が「情報口座」を来年度にも開始 提供者に企業優待券

 三菱UFJ銀行は5日、顧客から勤務地や普段利用する交通機関といった情報を預かり、個人が特定できないようにして取引先企業に提供する新サービス「情報口座」を早ければ2020年度にも始めると明らかにした。取引先企業は、情報を出した銀行の顧客にスマートフォンのアプリで優待券やクーポンを送り、お得意様の開拓につなげる。

 銀行は超低金利の余波で、預金と貸し出しの金利差である「利ざや」が縮小して本業の融資で苦戦している。三菱UFJは、グループで3000万人を超える顧客基盤を生かして企業の営業活動を後押しすることで、資金需要につなげたい考えだ。

 顧客はスマホのアプリで自身の情報を登録する。三菱UFJは情報を暗号化して属性ごとに整理し、個人が特定されない形で取引先企業に提供する。企業はターゲットを絞った効率的な営業や宣伝に役立てる。

 例えば、ある鉄道路線で通勤する人のみを対象に、飲食チェーンが沿線の店舗で使えるクーポンを配信する。クーポンが使われれば企業は手数料を銀行に支払い、顧客は対価として銀行から換金可能なポイントを受け取る仕組みを想定する。

 首都圏の約1万人と、電気や都市ガス販売の「CDエナジーダイレクト」(東京)や地域特産品の企画・販売などを手掛けるベンチャー企業「チアフル」(奈良市)といった約100社が参加する実証実験を12月下旬まで実施中だ。

 メガバンクの間では、分厚い顧客層を多様な情報が集まるプラットフォームに見立て、収益多角化につなげようという動きが広がりつつある。三井住友銀行もさまざまな新事業を検討している。

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