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基礎研究離れで日本企業停滞 ノーベル賞は過去の成果、遠い新産業創出
「基礎研究は産学連携で、という世界的なブームがあり、米国の企業は大学を頼るようになった。日本もそれに追随しようとしたのではないか」。米国経済はIT、医薬品といった産業を中心に復活を遂げ、日本経済は長い停滞期に突入する。
産学連携はほとんど進まなかった。当時の日本の大学は産学連携の経験が乏しい上に、連携に必要な仕組みも整備されていなかったからだ。
明暗を分けたもう一つの理由として山口は、米国のようなベンチャー企業育成制度がなかったことを挙げる。
スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ(SBIR)という制度で、82年に開始。連邦政府が外部に委託する研究開発費の3%前後を割り当て、毎年計約2000億円の資金を提供する。
応募して採択されると最大15万ドル(約1630万円)、計画を練り実現可能と判定されるとさらに最大150万ドルがもらえ、投資家も紹介される。製薬大手ギリアド・サイエンシズや半導体大手クアルコムなど新興企業が育つ苗床となった。
日本にも同様の制度が99年にできたが「単なる中小企業支援策にすぎなかった」と山口。支援を受けた企業の代表者が博士号を持つ割合は7.7%と米国の74%にはるかに及ばず、大学発の最先端の知を生かす仕組みになっていなかったのだ。
今年、ようやく内閣府が「日本版SBIR」の見直しに着手。研究で生まれた技術を基に社会課題の解決や新産業の創出を目指すベンチャー企業を支援する方向だ。(敬称略)