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「ワークマンに続け」水道工事会社がアパレル参入 立役者は東大卒の女性社長

国分瑠衣子
国分瑠衣子

 だが、サンプルを作ろうにもアパレルの知識を持った社員はいない。社員たちが市販のスーツを数十着買ってきて、身頃や袖の部分を切り離し、どんな生地を使ってどんな仕立てにすれば着心地が良くなるかを研究したが、困難も多かった。

 たくさん道具が入るようにポケットの数を多くするとスーツのスマート感がなくなってしまう。機能性とデザイン両方をかなえるために、外部のデザイナーの力を借り、何度もサンプルを作り直した。従業員が現場で動きやすいように、ストレッチ性が高く、汗が乾きやすい生地も生地メーカーと開発した。2年かけてようやく納得のいく作業着が完成した。

 機能性の高い作業着は、すぐに取引先の関心を集めた。「ウチにも作ってほしい」という依頼が少しずつ入るようになり、2017年12月にアパレル事業を立ち上げ、オアシススタイルウェアを設立し中村氏が社長に就任した。

 百貨店、セレクトショップの次は旗艦店も

 企業の制服は、百貨店やユニフォーム専門のメーカーが手掛けているケースが多い。さまざまな体形の従業員が着るため、メーカーは幅広いサイズを用意する必要がある。また、急なオーダーにもすぐに納品できるように一定数の備蓄が求められる。オアシススタイルウェアは、国内の生地メーカーと開発した生地を使い、中国で生産している。初年度はどのぐらいの数を製造すればよいのかさえ分からない状態だったというが、1年がたち、生産計画も描けるようになってきた。

 企業向けの制服のBtoBに加え、一般消費者向けのBtoCへの販売も始まり、課題も見えてきた。WWSは上下で約30000円の商品が中心で主にEC(電子商取引)サイトで販売している。だが「ネットで見ただけで30000円の商品をポンと買う人は少ない」(中村社長)。消費者に直接商品を手に取ってもらい、製品の機能を感じてもらえるように、百貨店やセレクトショップといった実店舗に常設コーナーを設け、販路を広げている。

 2019年6月からは、伊勢丹浦和店の紳士服フロアで常設販売を始めた。三越伊勢丹にとっても中心顧客の中高年に加えて、20、30代の若い層を呼び込みたいという狙いがある。さらに2020年中には念願の旗艦店出店も予定している。

 同社の売上高は非公表だが、2019年2月期には売上高3億円を見込む。今後、さらに販路を広げ2020年2月期は売上高10億円を目指す。中村社長は言う。「作業服を着る業界は人手不足に悩むところが多い。だからこそ制服の力で良い人材を獲得してほしい」。挑戦は始まったばかりだ。

国分 瑠衣子(こくぶん・るいこ)
国分 瑠衣子(こくぶん・るいこ) ライター
北海道新聞社、繊維専門紙「繊維ニュース」の記者を経て2019年に独立。北海道新聞社では事件・事故、司法、地方行政、地域医療を担当。繊維ニュースでは学校制服と企業用ユニフォームを専門に、スポーツアパレルや繊維メーカー・商社を取材。

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