サービス

アサヒグループHD、小路社長インタビュー「ビールのシェア争いに戦略おかず」

 アサヒグループホールディングス(HD)の小路明善社長は20日、産経新聞のインタビューに応じ、事業会社のアサヒビールが令和2年からビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の販売実績を数量から売上金額へと開示指標を変更することについて、「シェア競争のど真ん中に相変わらず戦略を置いてやっていく時代ではない」と述べ、理解を求めた。

 アサヒを含む大手ビール4社は、ビール、発泡酒、第3のビールのジャンルごとの販売数量を「1箱(大瓶20本)」に換算した数量ベースで公表。業界関係者はアサヒの基幹ビール「アサヒスーパードライ」の登場に伴う市場シェア争いが背景にあったと指摘する。

 2年から、計画や販売実績は、ビール類の合計を金額ベースで公表することとし、基幹商品は数量ベースを維持する。小路氏は、ビール社の塩沢賢一社長が社内の重要業績評価指標(KPI)を販売数量から売上高や利益ベースへ変更する決断を下したことに「大賛成」したという。「ビール市場が減少傾向にある中で数量を会社の評価として発表し、社内の評価としてKPIに設定するのは適切ではない」と話す。

 小路氏自身がビールの社長在任中、市場シェア39%まで到達したことに触れ「過度なシェア争いをしてきた」と振り返る。一方、消費者の価値観が多様化する中で「マスコミに数量を公表しても市場は作れず(今年まで)14年連続で減少している。数量を出せばメディアはどこがトップを取るのかにフォーカスする。(それは)ビール市場の活性化(につながる一助となる)報道にもなってこなかった」と指摘。

 株式市場関係者から、HDとしての情報開示レベルが下がるといった批判が挙がる点も「一部にそのような率直な声もあるが(売り上げや利益で)社内管理をする方向性に評価を受けている。評価を受けていないなら株価は下がるはず」と一蹴した。「販売数量の公表を続ければ、営業現場は数量を追い続けてねじれ現象が起きてしまう。(数量と金額を同時発表する)移行期間を置く必要はない」と持論を展開した。

 また、小路氏は、スーパードライの不振で元年12月通期予想を下方修正したビール社に関し、2年の事業計画は「無理に売上高を高く(設定)することはしない。商品点数もニーズがない商品を無理やり出して売り上げを確保することもしない。(ビール類、洋酒や焼酎など)分野ごとに見直し、絞り込む」との方針を示した。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング