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カレー(華麗)に変身、福島県会津地方の歴史的農産物オタネニンジン

 【近ごろ都に流行るもの】「歴史的農作物の復活」(上)

 「令和」への改元を迎えた去年は、日本の伝統を意識する1年となった。そんな中、近代化のなかで消滅の危機に陥った歴史的農産物が、復活の転機を迎えている。生産体制の再構築と、首都圏でのPRが活発化。連綿と培われてきた大地の恵みは、サステイナブル(環境を保全しつつ持続が可能な産業・開発)を求める現代人の価値観に合い、魅力的なブランドになりうる。生産者と消費者を結ぶCSA(Community Supported Agriculture=地域支援型農業)も活用した、再生への挑戦をお伝えする。(重松明子)

 東京・下北沢のイタリア料理店「ピッツァリーナ」(東京都世田谷区)で、釜から出てきた大ぶりなカルツォーネにナイフを入れた。カレーとモッツアレラチーズがあふれ出す生地をハフハフと口へ…。スパイシーでいてまろやかな風味に、土の香りのほろ苦さ。福島県会津地方のオタネニンジン(朝鮮ニンジン)の味わいだ。

 文禄元(1592)年に栽培が始まり、江戸後期には漢方薬として清国へも輸出。最盛期の作付面積は明治29年で300ヘクタールあったが、東日本大震災後に生産者団体「会津人参農協」が解散。平成29年には6ヘクタールにまで落ち込んだ消滅の危機から、復活への挑戦が始まっている。

 ピッツァリーナでは、オタネニンジンカレーのカルツォーネを、2019年10月の「下北沢カレーフェスティバル」で限定販売したところ、1日40個売れるなど品切れも起こす大好評。1皿1958円の正式メニューに格上げした。

 同店を経営するシェフズバンクの桑原大輔社長(45)は、「収穫まで5年を要し、土の養分をたっぷり吸いつくすため、連作もできない。生産効率が悪く高コストですが、そのぶん栄養価が高く、風土・食文化的に面白い食材」と評価。そのうえで、「独特のクセがあるため生では使い方が難しかったが、今回開発されたカレーは素材がうまく生かされており、可能性を感じた」。地方の優れた地場食材を東京の料理人に橋渡しする仕事の中で、会津の人々とも交流を深めてきた。

 カルツォーネに使われているのが、福島県会津美里町の会津美里振興公社が2019年2月に発売したレトルトカレー「ピンピンころりカレー」(756円)だ。オタネニンジンの滋養強壮の薬効と、会津地方に伝わる「会津ころり三観音」の御利益「ピンピンころり極楽往生」をかけたネーミング。東京・有楽町のアンテナショップ「むらからまちから館」でも販売されている。10月には、会津美里町から渡部英敏町長(78)とゆるキャラの「おたねくん」が上京し、「オタネニンジンは日本最古のスーパーフード」とPRした。

 同振興公社の高梨宣浩専務(55)は、「カレーは焼きそばなど多彩にアレンジでき、食べた方には大好評。血行促進で体も温まる。地道に首都圏に広げていきたい」と話す。今年の1月下旬には、千葉県船橋市の若松団地で試食会が計画されている。

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