2020 成長への展望

NTTコミュニケーションズ社長・庄司哲也さん

 □NTTコミュニケーションズ社長・庄司哲也さん(65)

 ■企業DX支援、一気通貫で追随許さず

 --今年の日本経済の見通しを

 「東京五輪を経て、いろいろなものがレガシーとして出てきたり、生まれたりすると思うので、楽観している。キーワードとなるのは『デジタルトランスフォーメーション(DX)』だ。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術が自分たちの生活やビジネスで実際に使えるようになる機運は高まっている」

 --昨年9月に企業のDXを支援する「スマートデータプラットフォーム」を立ち上げた

 「データの収集から蓄積、統合、分析まで企業がデータ活用に必要な機能をワンストップで提供する。プラットフォームに載るアプリケーションとしては、定額課金型のサブスクリプションモデルのサポートシステムやAI、経費の自動精算などさまざまなものがある。個別のサービスを選んで利用することもできる」--開発の経緯は

 「NTTグループが掲げるICT(情報通信技術)で、さまざまな社会改題を解決する『スマートワールド』を実現するためのプラットフォームをどう構築するかという命題があり、一昨年から構想を練り上げてきた」

 --DX支援に商機を見いだす企業が多い中で、NTTコムのプラットフォームの強みは

 「データを統合的に管理する中で特に重視されるのがセキュリティーに関するサービスだが、インフラも含めて全体を安全に運用できるフォーメーションをグループで形成できており、一気通貫でお任せいただける。システムは可視化され、簡単な操作でできることもあり、他社の追随を許さないと思っている」

 --売上高の5割強を占める音声・データ通信分野は縮減が見込まれるため、どう補うかが課題となる

 「創業当初は売上高の9割に上る収益の源泉だったが、この20年ほどで音声以外のサービスが普及したことで縮減した。逆に企業向けサービスやクラウド、データセンターなど音声・データ通信以外は伸びている。企業のDX支援の売上高を今後3、4年で1000億円規模に伸ばして、新たな収益の柱に育てる」

 --工場などで独自に第5世代(5G)移動通信システムの通信網を築く「ローカル5G」に参入する

 「スマートデータプラットフォームの導入事例として、化学工場で温度などのデータを収集・分析して製品品質予測などに用いているが、データの伝送にローカル5Gを活用することなどを想定している。顧客に合った提供の仕方を実証実験で検証していきたい」

                   ◇

【プロフィル】庄司哲也

 しょうじ・てつや 東大卒。1977年日本電信電話公社(現NTT)入社。取締役総務部門長、NTTコミュニケーションズ副社長などを経て、2015年6月から現職。東京都出身。

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