「違法化範囲は限定を」「議論は性悪説前提で」 海賊版サイト対策の行方
性悪説前提の議論必要
コンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事の後藤健郎氏
--規制対象を「著作権者の利益を不当に害する場合」に限定するかで意見が割れ、後藤さんは限定に反対だった
「今回は(出版社など)権利者側も限定要件を受け入れたが、これ以上要件を課すことには反対だ。海賊版業者が『不当に害さなければ何をしてもいいんだ』と悪用して喧伝(けんでん)する可能性がある。そうすると実効性が失われ、『ザル法』になってしまう。海賊版業者は“抜け道”を探すのがうまい。性悪説に基づいて議論する必要がある」
--際立って悪質だった海賊版サイト「漫画村」が一昨年に閉鎖。その後の現状は
「CODAが著作権侵害で削除要請する件数は1カ月当たり4万件ほど。状況は以前と変わっていない。内容はむしろ悪質化し、大規模になっている。匿名性や秘匿性が売りのサービスが世界で急激に育ちつつあり、官民双方の迅速な対処が必要だ」
--なぜ早急な対策が必要なのか
「今春から商用化が始まる第5世代(5G)移動通信システムを受け、通信速度が従来の約100倍になる。国境を超えた海賊版のやりとりも飛躍的に増える危険性が高い。対処には国際的な連携・執行が重要だが、著作権侵害の場合は強行犯や日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告の事件などと比べ、優先度が下がるのが実情だ。ただ、昨年には国際的連携により、漫画村の元運営者がフィリピンで身柄を拘束された。実績ができてよかった」
--議論は今後国会に移る
「いかにこの問題が根深く、国際的な問題が潜んでいるのかを深掘りしてほしい。若年層に対する影響の大きさも踏まえて議論していただきたい」
--将来的な希望は
「日本が主体的に国際的なリーダーシップを取ってほしい。現在大きな被害を受けているのは、日本発の漫画・アニメだ。世界的影響力のある文化を発信できる国は、他に米英など数少ない。コンテンツ保護を強く主張するのは、世界でも米国以外なかなかない。だからこそ日本が国際世論をリードし、発信するべきだ」
(本間英士)
ごとう・たけろう 昭和37年、神奈川県生まれ。60年から日本ビデオ協会(現日本映像ソフト協会)に勤務。不正商品対策協議会事務局長、文化審議会専門委員などを歴任し、平成29年から一般社団法人「コンテンツ海外流通促進機構」(CODA)代表理事。